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3、誰にどのような情報を発信するのか?

 

このように多種多様なソーシャルメディアが普及して多くの企業が自社サイトのトラフィックを増やすことに成功する中、大多数の企業は未だにソーシャルメディアの活用に成功していないのが現状です。


その最大の理由は、ソーシャルメディアを活用する目的が見込み客の獲得による短絡的な売上増を目指すという誤った目的のままだからです。


この問題を理記するにはソーシャルメディアの定義を知ることが必要です。


ソーシャルメディアとは:
インターネット上で展開される情報メディアで、個人による情報発信や、個人間のコミュニケーション、人の結びつきを利用した情報流通などといった社会的な要素を含んだメディアを意味します。(e-wordsより)


このようにソーシャルメディアは、人々が買い物をするマーケットでも無く、欲しい商品を探す検索エンジンでもありません。


ソーシャルとは「社交」を意味するものであり、本来個人と個人がコミュニケーションする場なのです。


そのようなパーティのような場所に企業が商品の情報を発信するということ自体、本来場違いな行為であり、ソーシャルメディアユーザーに強く歓迎されることではありません。


企業がそのような社交の場で許されることと言えば、ソーシャルメディアユーザーに役立つ情報を発信することくらいなのです。


にも関わらずこれまで非常に多くの企業がソーシャルメディアの本来的な意味を理解せず、あるいは理解しようとせずGoogleのような検索エンジンのようなものだと勘違いをしてきました。


そして一方的な自社サイトの宣伝情報を発信して成果が上がらないと嘆いているのが実情なのです。


しかし、試行錯誤を通じてソーシャルメディアをどのように活用すればそこから自社サイトにソーシャルメディアユーザーを誘導してトラフィックと売上を増やすことが出来るのかを理解する企業が徐々に出てくるようになりました。


そのソーシャルメディアを活用して自社サイトのトラフィック増とそれによる売上増を増やすためには誰にどのような情報を発信するかを明確に決めることが重要です。



新商品の発表


企業な主な活動の一つは新しい市場を見つけその市場にいる見込み客のニーズを満たすための新しい商品を提供する事です。


インターネットが普及する以前は新商品の発表をするためには多くの費用を払うことが求められました。その費用は新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等の広告宣伝費として費やされてきました。


しかし、広告スペースやCM枠は非常に限られたものであるために多くの資本を持つ企業が新商品の発表を有利に進める時代が続きました。


その後インターネットと検索エンジンの普及に伴い、日々増えるWebページ上に確保された広告枠は比較的低価格で購入することが出来るようになったため大きな資本を持たない中小零細企業や個人でも利用できる環境になりました。また、SEO技術の普及により検索エンジン最適化の方法を知る企業は自然検索結果で自社サイトを上位表示させ自社の新商品を低コストでPRすることが可能になりました。


しかし、それは自社のソーシャルメディアを見てくれるフォロワー(情報購読者)が一定数以上いればのことであり、ソーシャルメディア活用を始めたばかりの企業は新商品の発表をソーシャルメディアで行ったからといって大きな成果を上げることは困難です。



キャンペーン情報


新商品の発表はたくさんのフォロワーがいないと直接的なトラフィック増や売上増には繋がりにくいので、もっとハードルを低くして短期的にトラフィックを集める方法を考えなくてはなりません。


新商品の発表よりもややハードルが低いのがお得なキャンペーン情報の発信です。


通常高額な商品を一定期間に限り割引販売をしたり、オプションの商品・サービスが無料になるなど割引セールをすることにより、より多くのソーシャルメディアユーザーの注目を集めることが可能です。


しかし、それでもソーシャルメディアユーザーに出費を強いることになるため人と人が交流するパーティー会場のような性質をもつソーシャルメディアではさほど歓迎される情報ではありません。



プレゼント・懸賞情報


ソーシャルメディアで歓迎される情報はこのようにソーシャルメディアユーザーがお金を払うことになる情報ではなく、真逆である「お金をもらえる情報」、または「物品やサービスをもらえる情報」です。


その代表的なものがプレゼントがもらえる情報、懸賞を当てるための情報です。


提供するプレゼントは自社商品であれば自社商品のPRにもなり一石二鳥になりますが、現実にはその商品の良さをほとんどの消費者は知らないために振り向いてもくれないことがあります。


そうした場合は人気のある他社の全く関連性の無い商品をプレゼントすることも有効な選択肢の一つです。


例えば、誰もが行きたいような人気の観光スポットの宿泊券や、その時話題の比較的高額な家電やデジタルデバイス、またはたくさんの用途に使える商品券などがソーシャルメディア上でトラフィックを集め、自社サイト上にプレゼント・懸賞案内ページを作りそこに誘導することが可能です。


そうすることにより自社サイトのトラフィックを増やすだけではなく、その後メールマガジンなどを配信するためのメールアドレスや氏名などをフォームに記入してもらうことも可能になります。



モニター募集案内


自社商品のPR色を強めたい場合は、自社商品を無料または大幅な割引価格で提供する代わりにモニターとして商品の感想を送ってもらったり、氏名や顔写真を掲載させてもらう事を条件にするモニター募集案内をソーシャルメディアで配信する方法もあります。原価率が低い商品や、客数が少ない時間帯にサービスを提供するなどコストを抑えることが出来たら大きな出費無しでモニターを集めることが可能になります。



求人募集案内


ソーシャルメディアで歓迎される情報はソーシャルメディアユーザーが「お金をもらえる情報」、または「物品やサービスをもらえる情報」ですが、求人情報は労働という対価が伴いますが1度きりではなく継続的にお金をもらうことが出来る情報なのでソーシャルメディアユーザーに好まれる情報です。


景気の動向によっては採用活動にともなう費用が非常に高くなる時期もあり、たくさんの労働人口が利用しているソーシャルメディアは非常に有効な求人媒体になってきています。


他の情報と同様に、ソーシャルメディア上で全ての情報を載せるのではなく、自社サイトに全文載せて、そのWebページにソーシャルメディア上の記事からリンクを張ることが自社サイトのトラフィック増に大きく貢献することになります。



お役立ち情報


物品がもらえたり、サービスが無料で利用できるほどのインパクトはありませんが、デジタル情報を流通するインフラであるインターネット上では無料で役立つ情報をもらえるのが当たり前だという文化があります。ソーシャルメディアもそうしたインターネット上の一つのメディアであるため無料のお役立ち情報は非常に歓迎される情報です。


ソーシャルメディアでよく見かける無料のお役立ち情報には次のようなものがあります:


(1)ユーザーからの質問への回答


 数百文字を超える比較的長文のQ&Aコンテンツは自社サイトに載せてサイトのコンテンツとして発表したほうがSEOに有利になりますが、中には数百文字以下の短めの文章しか書けない時があります。そうした文字数の少ないコンテンツは自社サイトに載せることはむしろSEOにおいてマイナスになりますので、ソーシャルメディアのほうに投稿すると長文があまり少ないソーシャルメディア上で有効活用することが出来ます。


(2)商品の使い方・活用ガイド


 これも長文ではなく、商品のちょっとした使い方、活用の方法を数百文字以内でしか書けない時にはソーシャルメディアに投稿することがコンテンツの有効活用になります。


(3)事例報告


 ソーシャルメディアの主役は人ですので、自社のお客様やユーザーが自社の商品・サービスをどのように使い、どのような成果を上げたか短めの文章しか書けない時にソーシャルメディアが便利なツールになります。


(4)統計情報


 ソーシャルメディアユーザーに限らず、人がありがたく思う情報の1つに主観的な情報ではなく客観的な情報があります。


客観的な情報の典型例が統計情報です。一定の調査条件でデータやアンケートを取りそれを元に伝わりやすい表やグラフで表現した統計情報はたくさんの閲覧数を稼ぐだけではなく、信頼できる情報として他のソーシャルメディアユーザーにもシェアして拡散される力をもっています。


最善なのは自社で独自に調査やアンケートを行い1度だけではなく、継続的に発表することですが、それが無理な場合は他社が発表した統計情報とそれに対する感想を書いて投稿するだけでも一定の効果が期待できます。


(5)海外事情


 自社や自社を取り巻く環境で特にニュースが無い場合は、思い切って海外の同じ業界の動向を調べて、それを報告するのもソーシャルメディアでは歓迎されやすいものです。


一番良いのは自分自身が海外に行って情報を収集することですが、それが無理な場合は検索をしてネット上の情報を収集し自分の独自コメントを書くだけでも大きな価値が生じることがあります。


(6)画像


 現在ではほとんどのソーシャルメディアが画像を投稿できるようになっており、画像も投稿されている記事は、そうではないものに比べてソーシャルメディアユーザーの注意を引きやすく閲覧数の増加に貢献することがわかっています。その中でも目新しい画像や話題性がある画像を投稿すると、シェアやいいねボタンの数が増えるという好循環をもたらします。


InstagramやPinterestのように画像を主なコンテンツとしてやり取りするソーシャルメディアもユーザー数を急速に増やすようになっています。


企業が現実的に投稿できる画像には次のようなものがあります:


①商品の写真


②商品の利用例(服の試着など)


③サービスの提供風景


④ユーザー・顧客の写真


⑤風景写真(観光業等)


⑥イメージイラスト


⑦イメージ写真


⑧壁紙・待受画像・アイコン


⑨グラフ(統計情報)


⑩インフォグラフィック(情報、データ、知識を視覚的に表現したもの)


写真は高額な機材を使わないでも気軽に自分が普段使っているスマートフォンやタブレットで思った時にすぐに撮影が出来るはずですし、イラストやインフォグラフィックなどは低料金で作成してくれるクラウドソーシングサービスがありますので実現のハードルは年々低くなってきています。


(7)動画


 ソーシャルメディアサービス提供している企業が腐心していることの1つはユーザーの滞在時間を長くすることです。そうすることによりそこで表示される広告を見てもらえる機会が増え、それが広告スポンサーにとって魅力的な宣伝媒体になるからです。


そうした中で、ソーシャルメディアサービスを提供している企業が力を入れているのが動画を投稿してもらうことです。従来、Web上の動画はGoogleが運営するYouTubeが圧倒的なNo.1プラットフォームでしたが、その後を急速にFacebookが追うようになってきています。他にも新興のソーシャルメディア運営企業はショート動画をツイートのような感覚で動画を共有できるサービスをリリースするようになりました。


これまでYouTubeだけに投稿していた動画をそのままこうしたソーシャルメディアにも投稿することはほとんどコストをかけることなくこれまでの動画という貴重なデジタル資産を再利用する有効な手段です。


ただし、やみくもに動画を投稿するのではなく本書の第1章で述べたように:


①動きがあった方が分かりやすいテーマ


②文字や画像を見るよりも分かりやすいプロによる解説


③何かのやり方や方法の解説


④音声があったほうがメッセージが伝わりやすいテーマ


という基準のいずれか、または複数に該当する内容の動画を投稿したほうがユーザーに歓迎されやすいです。


また、最近ではGoPro等のビデオカメラやスマートフォンのカメラを使ってアウトドアの被写体を撮影して公開して成功している例が増えています。


観光業や、スポーツ、動物などの産業でビジネスをする企業ならばたくさんのソーシャルメディアユーザーを集める企画が考えやすいはずです。



イベント情報


無料のお役立ち情報と同様、あるいはそれ以上にソーシャルメディアで歓迎されやすい情報はイベントの情報です。


イベントというのは、コンサート、セミナー、講演、研修、カンファレンス、ミートアップ、展示会、発表会、交流会、飲み会、ランチ会、ツアー等、参加者が集まり交流や情報発信と情報交換を目的にした集会の事です。


これらのイベントは人々が交流するソーシャルメディアの縮図のようなものでもあるためにイベントの様子を画像や動画として撮影して投稿したり、その感想を投稿することはソーシャルメディア上で歓迎され、多くのユーザーの注目を引きやすい情報だということがわかってきました。


このことはソーシャルメディア上で押されるいいねボタン数やシェア数の多さという数値でわかることでもあります。


イベント情報は厳密に分類すると次のようなものがあります:


(1)自社主催イベントの募集


 自社が独自に主催するイベントをソーシャルメディアで告知すると参加者を増やせることがあります。しかし、参加費がかかる有料のイベントを告知してもユーザーから見ると販売活動に見えることになり非常に需要が高いイベントで無い限り大きな成果を見込むことは困難です。


(2)自社主催イベントの結果報告


 一方、すでに終了したイベントの様子をソーシャルメディア上で報告することは、一定の反応を得ることが可能です。特にそのイベントに参加している参加者の写真や様子を報告すれば、ポジティブな感情を抱きやすくなりシェアはされないとしても一定のいいねボタンを押してもらいやすいことがわかってきています。


(3)他社主催イベントの参加報告


 自社が独自にイベントを開催すれば自社の商品やサービス、あるいはブランドがソーシャルメディア上に拡散しやすくなりますがそのためには一定の準備時間と費用がかかります。


一方他者が主催するイベント、特に人気のあるイベントに参加することは参加費を払うだけで可能です。他者が主催するイベントに積極的に参加してその様子を撮影して、感想と一緒に映像も投稿すれば一定の反応を得ることが可能です。



自社サイトの更新情報


日常的に最もやりやすいのが自社サイトの更新情報を何行かの文章と画像、そして更新したWebページのURLと共に投稿することです。これをすると着実に一定のトラフィックを自社サイトにもたらすことが可能です。


下の図は筆者がほとんど毎日、自社サイトの更新情報をFacebookページ、Twitter、Google+を使って告知しているサイトの過去1ヶ月間のアクセス状況を示すGoogleアナリティクスの画面です。




更新しているページはQ&Aページを週4ページ、ブログを1ページの合計5ページだけですが、サイトを訪問するユーザーの27%近く、つまり4分の1以上がソーシャルメディア(Social)から来ていることがわかります。


更新状況は端的なもので十分です。Q&Aページを告知するのなら質問文とページURLだけで良いですし、ブログ記事の場合は記事のタイトルとURLだけでもかまいません。





このように自社サイトの更新状況を発信するだけでも貴重なトラフィックをソーシャルメディアから獲得することが可能です。



スタッフ・経営者の日常報告


企業が運営するソーシャルメディアで投稿される情報で最も多いのが企業で働くスタッフや経営者の日常報告です。


週末や勤務時間外に食べた食事の写真をとって簡単なコメントを書いたり、お花見や観光の感想などを短い文章とスマートフォン等で撮影した写真等の投稿はたくさんの準備をしないでも思い立った時に作成出来る情報です。


人と人が交流するために作られたソーシャルメディアの主役は個人なのでこうした情報はとても相性の良い物になっています。


こうした仕事以外のことは確かにその人の人柄や普段は見れない面が見えるのでソーシャルメディアで発信するコンテンツとしては適切ですが、仕事や会社で取り扱っている商材に関する情報も発信すべきです。


下の図は自社サイトでフローリングを販売している企業のFacebookページです。出先でたまたま見かけた古いフローリングを使ったカウンターのある飲食店で撮影した写真です。


環境負荷を減らすために廃材の再利用など社会的に有意義なこともあり、140人以上がこの投稿にいいねをしています。


このように自社商品そのものではなく、出先で見かけた素敵な活用例や他社商品などは情報発信者の商品の売り込みではないのでソーシャルメディアでは歓迎される傾向があります。




企業の活動報告


スタッフや経営者だけではなく、会社自体の活動報告をこまめにソーシャルメディアで情報発信することは自社サイトのトラフィックを増やすだけではなく、企業のブランディングにも役立ちます。


ソーシャルメディアで良く見かける企業の活動報告情報には次のようなものがあります:


(1)環境負荷軽減の取り組みの報告


(2)慈善事業、社会貢献活動の報告


(3)会社が受賞した賞の紹介


(4)マスコミ掲載実績や取材の様子の報告


次の例は先程の京都のフローリング販売会社のFacebookページにマスコミが取材をしている風景を撮影した写真と簡単なコメントと自社サイトのURLを投稿した記事をアップした様子です。


こうした情報を載せることにより高額な商品などは特に企業の信用アップになり成約率アップに貢献することがわかってきています。




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