3大オンラインショッピングモールの影響力と新興勢力の誕生

オンラインショッピングの世界は、楽天、Yahoo!ショッピング、Amazonの3大オンラインショッピングモールが主導権を握っています。これらの巨大プラットフォームがどのように市場を形成し、消費者に影響を与えているのかを掘り下げていきましょう。

目次

楽天市場とAmazonの売上

最新のマーケットシェアに関するデータは、業界の動向を理解する上で不可欠です。
日本のオンラインショッピング市場は、楽天市場とAmazonの二大巨頭による熾烈なシェア争いが特徴です。現在のところ、楽天市場がわずかにリードしているようですが、その差は非常に僅かです。オンラインショッピングモール単体としての楽天市場の売上は近年発表されていませんが、楽天トラベルなどの旅行部門などを含めたグループ全体流通総額は6兆円に到達していると報じられています。

一方でAmazonの日本部門はこれに迫る3兆6000億円近くの売上を記録したと報じられています。

楽天市場の公表している6兆円には、楽天トラベルも含まれていることが分かります。かつて独立した「旅の窓口」というサイトだったものを楽天が買収し、楽天トラベルとして組み込んだのです。

さらに、かつて存在した楽天オークションが終了し、現在はメルカリ風の「ラクマ」を運営しています。これらもeコマースとして楽天の売上に含まれています。その他、楽天24や楽天西友といったネットスーパーなどの売上も全て合算されているため、合計で6兆円という数字になるのです。結局、楽天市場単体だけで見ると、その売上はおそらく3兆円を超える程度だと考えられます。日本のオンラインショッピング市場は、これら二大プレイヤーによる競争が激しく、今後の動向が非常に注目されています。

総じて、楽天市場とAmazon.co.jpは、日本のオンラインショッピング市場においてほぼ同等の地位を占めていると見られます。しかしながら、Amazonが楽天を抜いている可能性も否定できません。このような情報の不透明さが、さらに市場の興味を引く要因となっています。

Amazonと楽天が携帯電話サービスに着目する理由

最近、ある興味深い噂が耳に入りました。話の出発点は、Amazonがかつて米国等の海外市場でFire Phoneという名のスマートフォンの販売に挑戦し、失敗に終わったという過去の出来事です。この時、Amazonは独自ブランドのスマートフォンを開発し、その中には当時としては珍しいAlexaというAIを内蔵し、商品や食べ物、植物を写真で撮ると、Amazonのサイトで詳細情報が表示され、直接購入できるという革新的な機能を備えていました。しかし、残念ながらこのプロジェクトは大きな失敗に終わりました。

現在、米国で再び新しい噂が浮上しています。それはAmazonがプライム会員へのサービスの1つとして新たに携帯電話の利用を追加するという噂です。詳細については詳細は明らかにされていませんが、もしそうなったら年会費を払っているプライム会員の価値が高まり会員が増えることが考えられます。

この計画は、プライム会員の増加が頭打ちになってきたための対策だと考えられます。これまで世界的に、あるいは少なくとも米国において、プライム会員数は年々増加していました。会員は年間一定の費用を払い、送料無料、翌日配送、プライムビデオの視聴などの特典を享受できます。しかし、その会員数の増加ペースが鈍化しているというのです。

このような状況を鑑みると、Amazonは本当にこうした計画を模索しているのかもしれません。このAmazonという会社は、ビジネスにおいて常に容赦なく、革新的な手法を取り入れることで知られています。

一方で、楽天モバイルの現状も注目に値します。楽天グループ全体の赤字が拡大し、株価の低下や社員の苦境についても話題になっています。しかし、楽天グループも楽天市場のユーザーに楽天モバイルを使った携帯電話を割引価格で販売するという戦略をとっているということはAmazonのこの動きを考えるとセンスが良い戦略だとも言えるのではないでしょうか?

第3のオンラインショッピングモール「Yahoo!ショッピング」

日本のオンラインショッピング市場を見ると、楽天やAmazonがトップを争う一方で、Yahoo!ショッピングも大きな存在感を放っています。Yahoo!ショッピングの売上現在公表されていませんが、Yahoo!ショッピングを運営するLINEヤフーが運営する、Yahoo!ショッピング、LINEギフト、LINEショッピング、ZOZOTOWN、アスクル、LOHACO、PayPayフリマ、ヤフオク、一休、MySmartStoreなどによるショッピング取扱高は4.11兆円(2022年度実績)あります。グループ全体で4兆円以上もの売上があるので業界内でのその地位は決して軽視できません。

《郡戦略で成長するLINEヤフーが運営するショッピングサイト》

3大オンラインショッピングモールそれぞれの世界観の違い

楽天、Yahoo!ショッピング、Amazonはそれぞれユーザーに異なった世界観を提供しています。それぞれが持つ独自の世界観を見てみましょう。たとえば、ゲーミングチェアを販売しているページを比較してみましょう。これらの商品のページを見ると、なんとも魅力的で、赤いアクセントの入った斬新なデザインに目が引かれます。購入はしないかもしれませんが、見ているうちに欲しくなってしまうかもしれません。

楽天市場のページデザインを見ると、企業の個性が強く反映された派手なバナーが目立ちます。ゲーミングチェアを検索しても、全く関係のない夏のアイテムや空調作業服などが表示されることもあります。Yahoo!ショッピングの面白いところは、楽天市場の派手さやAmazonの実用性を両方取り入れている点です。

一方で、Yahoo!ショッピングの商品のページを見ると、レビューがあまり目立たない点が不思議です。Amazonではレビューが豊富に掲載されていますが、楽天では1000件以上もあるにも関わらず、それが強調されていません。商品説明は客観的で、ページ下部に行くと全く関係のない筋肉モリモリの商品やサプリメント、下着などが登場します。

このように、楽天市場はその独特のノリと華やかなデザインで、購入体験を劇場のようなものに変えてしまいます。それぞれのオンラインショッピングサイトが持つ個性は、それぞれの魅力として消費者を引きつける要因となっています。

Amazonの商品ページを見ると、そのシンプルさと客観性が際立っています。例えば、ゲーミングチェアのページを開くと、画像はわずか7枚しかなく、サイズも小さめです。マウスオーバーで拡大は可能ですが、全体を見渡すにはやや不便です。更に、商品名はAmazonのSEOを強く意識しており、検索に引っかかるようなキーワードがふんだんに盛り込まれています。これは楽天のアプローチとは異なる点です。

Amazonのページをスクロールすると、情報量は多いものの、テキストはほとんどありません。一般の商品では、一行ずつの簡潔な箇条書きで客観的に説明されています。LP(ランディングページ)のような派手な画像は少なく、客観的なデータやスペックが中心です。これはAmazonの商品ページの特徴で、どの商品も同じフォーマットで構成されています。

これに対し、楽天市場のページはまるで劇場のような華やかさを持ち、商品ごとにデザインやフォーマットが大きく異なります。一つのお店では同じフォーマットが用いられることもありますが、別のお店では全く違った雰囲気になります。この多様性は、ディズニーランドからユニバーサルスタジオへと移動したかのような違いを感じさせます。

Amazonのシンプルなフォーマットは、急いでいる人や効率的に買い物をしたい人にとっては非常に便利です。一方で楽天のページは、その劇場的な見せ方が一部のユーザーにとっては面倒に感じられるかもしれません。このように、Amazonと楽天はそれぞれ異なるアプローチを取っており、ユーザーの好みに応じて使い分けることができます。Amazonでは、熟練のユーザーにとって使い勝手が良く、情報が直感的にわかる構造になっているのです。

Yahoo!ショッピングが、楽天とAmazonの間のポジションを巧みに取りながら、独自のアプローチを見せている点が非常に興味深いです。このプラットフォームは、Amazonのクリーンで客観的なフォーマットと、楽天の派手なランディングページ(LP)の間のバランスをうまく取っています。

Yahoo!ショッピングは出店企業が投稿するコンテンツに対する管理が厳しいことが昔から知られています。楽天市場のように自由に出店企業が好きなコンテンツを作ってサイトに掲載することが許されていません。この厳格な管理が、プラットフォーム全体の品質を保つ上での強みとなっていますが、同時に出店者の自由度に制限を加える面もあります。

企業のウェブ担当者にとって、Yahoo!ショッピングのこのバランスの取り方は参考になるはずです。プラットフォームの特徴を理解し、それぞれの強みを活かしながら商品を展開することが、オンライン販売の成功への鍵になります。Yahoo!ショッピングは、その点で侮れない存在と言えるでしょう。

3大オンラインショッピングモールへの出店はマスト

日本のオンラインショッピング界において、楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大オンラインショッピングモールは、今やインターネットを活用して物販の売り上げを増やそうとする企業や店舗にとってマストな存在となっています。これらのプラットフォームを選り好みする余裕はなく、特に商品の特性やターゲットによって、どのモールでの売り上げが最も伸びるかは大きく異なります。

各モールには、売りやすい商材や店の雰囲気、企業文化、世界観といった独自の特性があります。たとえば、楽天はある種の商品や店舗スタイルに適している一方で、Amazonではまた異なるタイプの商品が売れやすいといった違いがあります。また、楽天とAmazonは出店にある程度の手数料がかかりますが、Yahoo!ショッピングは基本的に出店手数料が無料です。これは広告事業モデルに基づいており、いくつか年前に孫正義氏が記者会見で出店料とロイヤリティを無料にすると発表してから、特に人気が高まっています。

このように、各モールはそれぞれに異なる特徴と利点を持っています。企業や店舗がオンラインでの販売を成功させるためには、これら3大モールの特性を理解し、それぞれの環境でどのように展開するかを考える必要があります。さらに、各モール内でのSEO戦略も重要で、これらを学び適応していくことが、オンラインショッピング市場で成功するための鍵となります。

特化型ショッピングモールの台頭

最近のオンラインショッピング業界において、3大オンラインショッピングモールに挑む新しい形態の挑戦者が登場しています。これらは「特化型ショッピングモール」として知られ、特定の分野やニーズにフォーカスしたユニークなアプローチで市場に新風を吹き込んでいます。

例えば、ヨドバシドットコムは家電メーカーの特化型オンラインショップとして注目されています。私自身、最近はそこまで頻繁には利用していませんが、ヨドバシドットコムには良い印象を持っています。特に、事務用品などは価格が手頃で非常に便利ですし、パソコンなどの電子機器も充実しています。

ヨドバシドットコムの魅力は、実店舗であるヨドバシカメラとの連携にもあります。これにより、オンラインとオフラインのショッピング体験をシームレスに結びつけることが可能になっています。このような特化型ショッピングモールの出現は、大手総合型オンラインモールだけでなく、消費者にとっても新しい選択肢を提供しています。このトレンドは、オンラインショッピング業界において新たな動きとして注目されるべきでしょう。消費者が特定の商品やサービスを求める際、より専門的で特化したショッピング体験を提供するこれらのモールは、市場においてますます重要な役割を担っていくことでしょう。

オンラインショッピング界の巨人であるヨドバシカメラは、その極端なサービススピードと拡大戦略で業界に大きな影響を与えています。最近の私自身の体験からも、ヨドバシカメラのダイナミズムを感じることができました。たとえば、SEO検定の試験会場が大阪のヨドバシカメラ梅田店のすぐ近くにあり、その窓からはヨドバシの店舗が見え、さらにヨドバシエクストリームと呼ばれる配送用バイクが目に付きました。このサービスは、注文後数時間で商品をバイクで配達するという、まさに「エクストリーム」な速さを誇っています。このような斬新な取り組みは、日本の企業の中でも珍しく、ヨドバシカメラの積極的な市場へのアプローチを象徴しています。

《ヨドバシ梅田店》

また、東京の池袋では、かつての名門・西武百貨店がセブンイレブングループから売却され、ヨドバシカメラが買収しました。これは地元住民の間で大きな話題となっており、かつての高級ブランドショップが入っていた場所がヨドバシカメラに変わることに対して、さまざまな反応が見られています。ヨドバシカメラのような企業の動きは、単にビジネスの展開だけでなく、地域社会や消費者のライフスタイルにも大きな影響を及ぼします。彼らの今後の動向は、小売業界におけるトレンドの変化を示す重要な指標となるでしょう。

日本のオンラインショッピング業界において、ヨドバシカメラの革新的な取り組みは注目に値します。この閉塞感のある市場環境の中で、ヨドバシカメラは関東地方の西武グループの百貨店を手に入れるという大胆な動きを見せています。

この成長の背後には、ヨドバシドットコムの通販事業が大きく寄与していると考えられます。ヨドバシドットコムでは、さまざまな商品を取り扱い、顧客志向のサービスを提供しています。特に、送料無料のサービスや、注文後わずか数時間で商品が届くスピード感は、他社との大きな差別化要因となっています。この迅速な対応は、顧客にとっては非常に魅力的ですが、他の競合企業にとっては圧倒的な挑戦となっているでしょう。

また、ヨドバシカメラのライバルとしてはビックカメラも見逃せません。ビックカメラは池袋にも複数の店舗を持ち、ヨドバシカメラのビジネスモデルを参考にしながら、ECサイトの運営においては独自のデザインや使いやすさを追求しています。SEOにおいても、ビックカメラはヨドバシカメラを凌ぐ場合があり、両社の競争は今後も続くでしょう。

大手通信キャリア、韓国企業もオンラインショッピングモールを運営

このように、日本のオンラインショッピング市場は、各社の革新的な戦略と熾烈な競争によって、常に変化し続けています。ドコモやauのような大手通信キャリアは、その巨大な顧客基盤を活用して、ほぼ無料で新しい顧客を獲得することができるという点で、他のビジネスとは一線を画しています。これは、事業を展開するうえでの大きなアドバンテージとなっています。

日本のオンラインショッピング業界は、多様なプレイヤーとそのユニークな戦略で知られています。その中でも、楽天は「ポイント帝国」としてその地位を固めています。他にも、2010年には、韓国の商品に特化したQ10というユニークなオンラインショッピングモールの人気も高まっています。このモールは、特に若い層に人気があり、韓国文化やファッション、コスメに対する関心が高いユーザーを引き付けています。こうした特定のユーザー層に特化したオンラインモールは、日本の電子商取引の風景に新たな色を加えています。

まとめ

日本のオンラインショッピング市場における楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大プラットフォームの強大な影響力と、それらに挑む新興勢力の誕生について掘り下げてきました。ウェブ担当者や企業経営者は、これらの情報を活用して、自社のECサイトの売上向上につなげる戦略を考えることができます。

まず、楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングそれぞれの特性を理解し、すぐには無理でも、最終的には3つ全てに出店することが重要です。また、特化型ショッピングモールの台頭は、ターゲットを絞ったマーケティング戦略や、より専門的なニーズに応えるチャンスを提供しています。これらのプラットフォームは、特定の市場ニッチや独自の消費者基盤にアクセスする絶好の機会を提供しており、自社の商品やサービスが特定の顧客層に合致する場合、積極的に活用するべきです。

インターネットの利用がますます増加している現代において、オンラインショッピング市場は引き続き急速に進化し続けるでしょう。ウェブ担当者や企業経営者は、このダイナミックな市場環境に適応し、革新を続けることで、自社のECサイトを成功に導くことが可能になります。

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ウェブマスター検定公式テキストの著者。他にSEO検定公式テキスト、世界一やさしい ブログSEOの教科書 1年生等、SEO、ウェブマーケティングの著書多数。
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