検索エンジンとは何か?

今回は、インターネット上で重要な役割を果たす「検索エンジン」について掘り下げてみましょう。この話題は、ウェブ上で生まれた15のサービスの中の一つとして特に注目に値します。ウェブが発展するとともに、ウェブサイトの数が急速に増加していました。しかし、この成長に伴い、ウェブサイトの所有者たちは大きな問題に直面していました。それは、どうやって人々に自分のサイトを見てもらうかという問題です。

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サイトのトップページにアクセスカウンターを設置していた時代

この問題は、今日においても依然として存在しますが、当時は特に深刻でした。なぜなら、現代のように洗練されたツールが存在しなかったからです。例えば、現在ではGoogleアナリティクスのようなツールがあり、どこから訪問者が来たのか、1日にどれだけの人がサイトを訪れたのかを簡単に把握できます。しかし、20年以上前は、このようなウェブ解析ツールはほとんど普及しておらず、ウェブサイトの所有者は訪問者数を把握するために「アクセスカウンター」という単純な方法に頼っていました。

アクセスカウンターは、ウェブサイトのトップページに設置され、「ようこそ、あなたは何人目の訪問者です」といったメッセージと共に、訪問者数を数える仕組みでした。訪問者が1人来ると、アクセスカウンターは1増え、次の訪問者が来ると2になる、というシンプルなシステムでした。当時のウェブサイトの所有者は、このアクセスカウンターを見て、訪問者数が1万人、何万人、何十万人と増えることに一喜一憂していました。ただし、この方法では、各ユーザーがどのページをどれだけの時間見たかなど、詳細な情報は分かりませんでした。

ウェブサイトが未だ自分以外の誰にも知られていない時期には、自分がサイトを訪れるたびにアクセスカウンターが1ずつ増えていきます。このような状況は、当時のウェブサイト運営の難しさを象徴するエピソードと言えるでしょう。

ウェブが発展した現在でも、自分が運営するウェブサイトの存在をどうやって人々に知ってもらうか、という問題が大きな課題となっています。たとえ何十時間、何百時間と労力をかけて素晴らしいコンテンツを持つウェブサイトを作成しても、その存在やURL(Universal Resource Locator: ユニフォームリソースロケーター = ウェブアドレス)を誰も知らなければ、自分以外の訪問者は一人も訪れません。

ここで重要なのは、ウェブサイトの存在をいかにして多くの人に知ってもらうか、そのウェブアドレスをどのように告知、案内、または発表するかという点です。この大きな課題に対して、多くのサイト運営者を助けたのが「検索エンジン」の存在です。検索エンジンは、ウェブ上で生まれたサービスの中でも特に重要な役割を果たしています。

まず、ウェブの発展と検索エンジンの関係について考えてみましょう。ウェブサイトの数は日々増加し続けています。その数は計り知れないほどになっています。かつては、世界中に存在するウェブサイトの総数を発表するようなデータもありましたが、実際にはこれは測定不可能です。なぜなら、ウェブは中央集権的に管理されているわけではなく、世界中の人々が自発的にウェブサイトを作成したり、ブログを書いたりして情報を発信しているからです。このように、ウェブは混沌とした環境であり、特定の企業が管理しているものではありません。

パソコン通信

ウェブが展開されているインターネットは、今日私たちが知るオープンなネットワークとは異なる形態をとっていました。例えば、マイクロソフトは「MSN(マイクロソフト ネットワーク)」という閉鎖的なインターネット空間を提供していましたが、後にこれをやめ、オープンなインターネットの一部として運営するようになりました。同様に、NECや富士通などの企業も、それぞれ独自のインターネット技術を用いたパソコン通信というネットワークを持っていました。

当時国内で画期的だったのは、「PC-VAN」と「ニフティサーブ」という2つのパソコン通信でした。これらはインターネットの前段階とも言える、非常に閉鎖的なネットワークでした。NECはPC-VANという独自のネットワークを、そして富士通はニフティサーブ(現 nifty)というネットワークを運営していました。これらは、米国のコンピューサーブなどといったパソコン通信サービスの一部であり、オープンなものではなく、会員しか利用できない閉鎖された環境でした。

PC-VAN

「PC-VAN」は、NECが運営していた日本初のパソコン通信サービスで、1984年12月1日にサービスを開始しました。このサービスは、当時の電話回線を使ってパソコン間で情報を交換するもので、インターネットとは異なるネットワークでした。

PC-VANは特に、NECの「PC-9801」シリーズのユーザーに人気があり、1990年代には会員数が100万人を超える大きな成功を収めました。掲示板、電子メール、ファイル転送などの多様なサービスを提供し、パソコンユーザーのコミュニティとして重要な役割を果たしました。

PC-VANは、パソコン通信サービスとして早期にサービスを開始し、NECのパソコン普及に貢献しましたが、インターネットの普及とともに会員数が減少し、2002年3月31日にサービスを終了しました。この終了は、日本のパソコン通信の歴史の終わりを象徴するものであり、PC-VANの歴史は日本のインターネット発展の一部として語り継がれています。

ニフティサーブ

コンピューサーブは、1979年に設立された世界初のパソコン通信サービスで、アメリカ発の先駆者です。このサービスは、電話回線を使ってパソコン間で情報を交換するもので、当時のインターネットとは異なるネットワークでした。月額料金の支払いが必要な会員制で、掲示板、電子メール、ファイル転送などの様々な機能を提供していました。1980年代には、100万人以上の会員を抱える人気のあるコミュニティとなりました。

一方、日本で最初のパソコン通信サービス「ニフティサーブ」は、1986年に富士通によって開始されました。コンピューサーブと同様に会員制であり、月額料金が必要でした。ニフティサーブは、コンピューサーブの日本版としてライセンスを受け、サービスを展開しました。1990年代には100万人、2000年代には1000万人を超える会員数を記録し、日本におけるパソコン通信の代表格となりました。

コンピューサーブとニフティサーブは、それぞれがパソコン通信の黎明期を支え、日本でのインターネット普及に大きく貢献した重要なサービスです。

これらパソコン通信のユーザーもウェブのオープン性ゆえの便利さに気が付き、ウェブのユーザーとなっていきました。

急速に増えるウェブのユーザー数の増加に伴い、これらのサイトやページの存在を把握し、さらには人々がそれらを見つけられるようにすることが重要になりました。ここで、検索エンジンの役割がクローズアップされます。英語で「Search Engine」と呼ばれるこのツールは、ウェブサイトを見つけるためのプログラムやアルゴリズムで構成されています。それはまさに、情報を見つけ出すための「エンジン」だと言えます。

検索エンジンの意味

検索エンジンとは、インターネット上で情報を検索するためのシステムやプログラムのことを指します。ユーザーがキーワードやフレーズを入力すると、検索エンジンはそのキーワードに関連するウェブページ、画像、動画、ニュース記事などの情報をインターネット上から探し出して、検索結果として表示します。

現在、主な検索エンジンにはGoogle、Bing、DuckDuckGoなどがあり、それぞれが独自のアルゴリズム(検索順位を決める計算式)を用いて情報を収集、整理し、ユーザーに提供します。検索エンジンは、ウェブページのテキスト内容、関連性、ウェブサイトの権威性などを基にして、最も適切と思われる情報をランク付けして表示します。

この検索エンジンというシステムは、情報が膨大に存在するインターネット環境において、ユーザーが必要な情報を効率的に見つけ出すのに不可欠なツールとなっています。また、ウェブサイトを運営して集客しようとする企業にとっては、検索結果内でいかに自社サイトの情報を目立たせることができるかが死活問題となっています。

検索エンジンには「ディレクトリ型」と「ロボット型」の二つがある

検索エンジンには主に2種類が存在します。最初に登場したのがディレクトリ型で、その後に開発されたのがロボット型です。これらのタイプを理解することは、企業がウェブを使って集客をするためのウェブマーケティングを実施する上で重要です。

ディレクトリ型検索エンジンとロボット型検索エンジンの主な違いは、ウェブサイトの情報収集方法にあります。ディレクトリ型検索エンジンは、人の手によりウェブサイト情報を収集し、カテゴリ別に整理して登録します。この方法は特定分野のウェブサイトを探しやすいが、限られた数のウェブサイトしか登録できず、最新情報の反映が難しいという欠点があります。

一方、ロボット型検索エンジンはクローラーと呼ばれるプログラムを使用してウェブサイトを自動的に巡回し情報を収集します。これにより、インターネット上の広範なウェブサイトから効率的に情報を集め、常に最新の情報を反映させることができます。

これらの検索エンジンは、それぞれ独自の特徴を持ち、メリットとデメリットがあります。次回の記事では、ディレクトリ型検索エンジンについて、その具体的な機能と利点、欠点を掘り下げていきます。そして次に、ロボット型検索エンジンについても同様に、その性質を詳しく見ていきます。

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ウェブマスター検定公式テキストの著者。他にSEO検定公式テキスト、世界一やさしい ブログSEOの教科書 1年生等、SEO、ウェブマーケティングの著書多数。
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