ウェブサイトの歴史を振り返る

前回の記事ではウェブサイトの仕組みとその魅力について解説しました。今回は、ウェブサイトがどのように生まれたかについて解説します。

ウェブ上で情報を発信したいと願う人達がHTMLという言語を使うことにより、ウェブサイトの数は急速に増えていきました。しかし、ウェブサイトの歴史において、特に興味深いのは「世界で初めてのウェブサイトはどのようなものだったのか」という点です。私も皆さんも、この点については非常に興味を持っていると思います。

答えはこちらです。

《世界初のウェブサイト》

《出典》 http://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html

目次

世界で初めてのウェブサイト

世界で初めてのウェブサイトは、1991年に作られた、装飾もないシンプルなテキストのみのサイトでした。このサイトでは、ワールドワイドウェブが何であるかを説明しています。ただのテキストとハイパーテキストリンクがあり、例えば「ハイパーメディア」というリンクをクリックすると、ハイパーメディアについてのページに飛ぶ仕組みでした。

また、「FAQ(よくある質問)」のリンクもあり、ワールドワイドウェブに関する一般的な質問に答えるページに飛ぶ機能がありました。画像すらない、非常にシンプルな構造のこのサイトが、世界で初めてのウェブサイトだったのです。

このウェブページを作成したのは、ウェブ自体を考案したと言われる人々の中のリーダー格であるティム・バーナーズ=リー博士です。彼がこのサイトを作成したのは1991年のことでした。今後、このような情報が世界史の教科書にも載るかもしれませんし、すでに載っている可能性もあります。

どんな業種のウェブサイトが最初に生まれたのか?

ウェブサイトが誕生した当初、主に大学や研究機関が運営する学術的な情報のサイトが主流でした。当時のウェブサイトは、eコマースや商売のためではなく、学者たちが自分の研究成果を低コストで世界中の他の学者に迅速に発表するために作られました。そして、単に発表するだけでなく、チャット、ニュース配信システム、掲示板など、さまざまなインターネット技術を活用して意見交換を行い、プロジェクトの進行を加速させていました。これにより、科学技術も急速に発展したと言えるでしょう。

その後、学術的なサイトだけでなく、IT関連の企業もウェブサイトを作り始めました。世界的なIT企業と言えば、IBM、Oracle、Microsoft、Appleなどがあります。昔はDEC(デジタル・イクイップメント・コーポレーション)という、ミニコンピューターを考案した会社もありましたし、シリコングラフィックスや、サンマイクロシステムズなどのIT業界の草分けとなった企業たちが、ウェブのポテンシャルにいち早く気づき、ウェブサイトを作成していました。

ウェブサイトの多様化

ウェブサイトの多様化について話を進めてみましょう。ウェブサイトが多様化し始めたのは、最初に学術関連やIT企業が主流だった時代を経て、次に個人が趣味でサイトを作るようになった時期です。私自身もそうでしたが、多くの人々が個人的な趣味や関心でウェブサイトを作り始めました。

私の場合、最初にウェブサイトを作ったのは1996年で、当時はフロッピーディスクに保存してデータを管理していました。

私はオーストラリアで日本語教師として働いており、オーストラリアの日本語教師のレベルを高め、日本語教育を活性化させたいという野望を持っていました。そのために「lote.com」というドメインを取得してウェブサイトを作り、日本語の教え方や教材、問題集などを配布していました。今ではそのドメインは他人に取られてしまいましたが、この経験があるため、今でも個人的にSEO検定やウェブマスター検定公式テキスト、公式問題集のように教材を作るのが好きです。

これは私の原点であり、語学学習のサイトを作ることで、単に有名になりたい、人に褒められたいという欲求がありました。私だけでなく、多くの人々が同様のことをしていたと思います。特にアニメや漫画の世界のファンも、このようなウェブサイトを積極的に利用していたと思います。

ウェブサイトの商業化

ウェブサイトの商業化について話を進めてみましょう。ウェブサイトが次に発展した段階では、お金儲けを目的とする人々が登場しました。最初は学者たちが主導していたインターネットの世界では、特にお金のやり取りはほとんど行われていませんでした。

道具を売って儲ける企業が最初に登場

これらの企業は、直接サイト訪問者達からお金を取るのではなく、自社のIT製品のPRのためにウェブサイトを作成していました。彼らのサイトには、「インターネットを使うとこんなにすごいことができる」という内容が多く掲載されていました。これを現実世界の例え話で表すと、カリフォルニアのゴールドラッシュの時代に、世界中から金を掘りに来た人々がいたのと似ています。彼らが金を掘るために必要だったのは、掘削道具や馬車などの備品でした。そして、実際には金を発見できなかった人々が多かったものの、これらの道具を売る業者は着実に儲かっていました。

同様に、Oracle、Microsoft、Netscapeなどの初期のIT企業は、インターネットの「ゴールドラッシュ」において、金を掘るための「道具」を売っていたと言えます。彼らは純粋なビジネスではなく、PRと活動のためにウェブサイトを運営していました。そして、インターネットで儲かると言われていましたが、当時は実際に儲かっている人はほとんどいませんでした。それどころか、インターネットに関わるだけで多額のお金を失っていたのです。

この話は、私自身の経験に基づいています。当時、私は教師として働いていましたが、給料は非常に少なく、月に約12万円ほどでした。そのうちのほぼ半分、つまり月に6万円程度をインターネットに使っていたと思います。今振り返ると、それは恐ろしいことです。年収の半分をインターネット接続に費やしていたのですから、私は少しクレイジーだったかもしれません。

インターネットで稼げている企業はほとんど無かった

当時のインターネットは、お金を生むというよりは、むしろ金食い虫、時間食い虫だったのです。私は当時勤務していたオーストラリアの学校が3時に終わって帰宅した後には他にすることがほとんどなかったので、インターネットに夢中になっていました。そんなこんなで、いよいよ商用目的、つまりインターネットユーザーを対象としたビジネスが登場する時代になります。

その後インターネット事業に参入した企業は、お金儲けのためにインターネットに参入しました。これらはAmazonを始めとする米国のドットコム企業と言われる企業です。米国のドットコム企業は当時の投資家の期待を受けてIPO、つまり株式上場を果たし莫大な資金を調達しました。

オンライン上で顧客と直接取り引きをする企業が生まれた

ウェブサイトの商業化が進む中で、商品を直接オンラインで販売しようとするサイトが登場しました。これらのサイトでは、顧客がクレジットカード情報を入力し、オンラインで直接商品を購入したり、サービスを申し込んだりすることが可能になりました。この動きの先駆者としては、旅行代理店や留学エージェントが挙げられます。当時のインターネットは、世界中とつながる手段としてのイメージが強かったため、特に海外旅行や留学関連のサービスが先行してウェブサイトを開設しました。

また、格安航空券の予約サイトもこの時期に登場しました。私自身も、インターネットに多額のお金を使っていたため、何とかしてその投資を回収しようとウェブ制作業界に入りました。最初の顧客の多くは留学エージェントや旅行代理店でした。実際、私が作成したウェブサイトの一つが、東京にある有名な旅行代理店で使われていることを最近知り、非常に嬉しく思いました。そのサイトは、私がオーストラリアの自宅の書斎で、パソコンを使ってコツコツと作成したものでした。今ではそのサイトが大きな会社に成長しており、私にとっては大変光栄なことです。

セキュリティーの問題とネガティブな評判が発展を阻んだ

ウェブが誕生した当初、ウェブ上で直接物やサービスを販売する企業はほとんど存在しませんでした。その主な理由は、当時のインターネット環境が個人情報の保護に関して非常に脆弱だったからです。現代では暗号化技術やSSLなどが普及していますが、初期のインターネットでは、入力した情報が第三者に盗み見られるリスクが高かったのです。例えば、メールの内容、訪れたウェブサイト、検索したキーワードなどが、コンピューターに詳しい人々によって簡単に閲覧されることがありました。

このような状況では、個人情報やクレジットカード情報をインターネット上に入力することは非常に危険でした。実際、多くの人々がネット通販で騙された経験があります。例えば、クレジットカード情報が不正に使用されたり、商品を注文しても長期間待っても届かなかったり、連絡を試みても返答がないなどのトラブルが発生していました。私の家族も、このような経験をしたことがあります。私自身はそういったトラブルに遭遇したことはほとんどありませんが、あったとしても1回か2回程度です。

このように、インターネットの初期は、個人情報の安全性に関しては非常に危険な世界だったのです。

また、当時のウェブに関する一般的な認識は、かなりネガティブなものでした。テレビや新聞、雑誌などのオールドメディアは、インターネットを「ウェブ=アダルト」「ウェブ=ギャンブルサイト」「ウェブ=犯罪」といったように、しつこく否定的に報じていました。このようなメディアの影響もあり、当時のほとんどの企業はインターネットへの進出をしていませんでした。また、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉も存在しなかった時代です。

技術があったとしても、その販売方法が分からなかったのです。現代のように、使いやすいショッピングカートを作ったり、ユーザーエクスペリエンスを重視したデザインを施したりする知恵は、当時の人々にはありませんでした。ウェブサイトは非常にシンプルで、せいぜいいくつかの画像がある程度で、たまにデザイン性の高いボタンが配置されている程度でした。インターネットを使ってどのように顧客とコミュニケーションを取り、商品やサービスを売り込む方法に関するノウハウ自体が存在しなかったのです。

私が1990代のころ、一時的に日本に帰国した際に東京の大きな本屋さん、例えば八重洲ブックセンターや神保町の三省堂書店などを訪れ、ウェブサイトの売上を増やすための本を探しました。しかし、驚くほど少なく、見つけたのはたった一冊だけでした。

その一冊の本は、日本で恐らく初めてウェブサイトの売上向上に関する内容を扱ったもので、確かに価値のある本だと思います。しかし、私が読んだときは、それが理解できたような気がしたものの、結局は自分の課題を解決できるようなノウハウが書かれておらずがっかりしたのを覚えています。この経験が、私が今仕事をしている原動力の一つとなりました。世の中の人々、特にウェブで物を売る方法がわからない人々のために、具体的にウェブサイトをどうすれば企業の売り上げが飛躍的に伸びるのかを伝えたいと思いました。もし他で売っていないなら、自分がそれをいつか作りたいと考えたのです。

ウェブの基礎が分かればウェブを使った集客を習得できる

その後、私がウェブデザイナーからセミナーで講師をするようになった2002年にSEO、つまり検索エンジン最適化に出会いました。セミナー参加者の方の何名かがGoogleやYahoo!検索で上位表示をするためのノウハウを欲しがっていることがわかり、かなりのニーズがあるのではないかと感じたのです。私が当時も今も目指しているのは、ウェブサイトを使った売上アップのノウハウを皆様に効果を保証して提供することです。このブログも、最終的には数百ページになるかもしれませんが、そのゴールはウェブサイトを使った売上アップのノウハウを伝えることです。そこに向かって一緒に歩んでいきましょう。

ウェブサイトを使って企業や個人がどのように売上を増やし、業績を上げることができるのか、このテーマについて基礎から完璧に説明したいと考えています。なぜなら、現在でも多くの企業がウェブを活用して売上を増やす方法を明確に理解していないからです。その理由にはいくつかあると思いますが、少なくともその一つは、ウェブ技術の仕組み、ウェブ制作の流れ、そこにある基礎的な技術を知らないからだと思っています。

まだ多くの企業がウェブを活用した集客の凄まじい威力を体験していないのはとても残念です。専門家に任せっきりにするのではなく、自分の頭で考え、自分が主体的に計画を立て、それを自分自身で行うか、専門家に的確な指示を出すことができれば、それが可能になります。

このブログを書く目的は、それを伝えるためです。私が監修者の皆さんの協力のおかげと、たくさんの経験を与えてくれたクライアントさんたちのおかげで書けたウェブマスター検定公式テキスト4級から1級を基にブログ記事を書いていきます。

次回の記事では、ウェブサイトの意味や歴史の解説が終わりましたので、私の専門分野である検索エンジンについて、その意味と活用方法をご紹介します。次回もよろしくお願いします。

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ウェブマスター検定公式テキストの著者。他にSEO検定公式テキスト、世界一やさしい ブログSEOの教科書 1年生等、SEO、ウェブマーケティングの著書多数。
→ 著者紹介

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