今、企業の集客手法はかつてないほど多様化しています。特にSNSの活用は、すでに「やる・やらない」の選択肢ではなく、「やらなければならない必須の取り組み」へと変化しました。
その背景にあるのが、GoogleのAIモードやChatGPTのようなAI検索の普及です。AIは企業のウェブサイトだけでなく、SNS上の活動・発信内容・口コミ・フォロワーとの関係までも分析し、企業の信頼性や人気を評価しています。つまり、SNSを運営していない企業はAIにもGoogle検索にも取り上げられにくくなっているのが現実です。
そしてSNSの中でも特に重要なのが、Instagramです。Instagramは今や若年層だけでなく、30代・40代以上の利用者も増え、購買意欲の高い層が集まるプラットフォームとなっています。にもかかわらず、「うちはInstagramとは関係がない」「うちは地味な業種だから向いていない」と感じている企業が少なくありません。この記事では私が、過去多くの業種のSNS活用を支援してきた経験とデータをもとに、Instagramがどんな業界で有効な集客ツールになるのか、そして「地味な業界」でも活かせる方法を具体例とともにお伝えします。
Contents
- 1 「SNSは関係ない」と思っている業界こそチャンスがある
- 2 「悲しみ」を扱う業界でも伝え方を変えればInstagramは使える
- 3 Instagramが強い業界①:美容・ファッション・飲食業界
- 4 Instagramが強い業界②:観光・旅行・地域ビジネス
- 5 Instagramが強い業界③:デザイン・ハンドメイド・クリエイティブ業界
- 6 意外と効果が高い業界①:BtoB企業や士業(弁護士・税理士・社労士など)
- 7 意外と効果が高い業界②:教育業界・スクール運営・セミナー講師
- 8 SNSを使うことでAIやGoogle検索でも評価が上がる理由
- 9 SNSはAI時代の「企業信頼力」を高めるツール
- 10 どの業界でも「見せ方」を変えればInstagramは成果を出せる
「SNSは関係ない」と思っている業界こそチャンスがある
多くの経営者や店舗オーナーが、「Instagramはおしゃれな業界向け」「自分たちの業界とは無縁」と思い込んでいます。しかし、それは大きな誤解です。
Instagramは本来、写真を通じて体験を共有する「デジタルアルバム」として誕生しました。ユーザーが「旅行に行った」「新しいお店を見つけた」といった体験を写真でシェアし、その投稿をきっかけに他の人が行動する──この循環こそがInstagramの原点です。
つまり、ビジュアルを通じて人々に「体験を想起させる」業界なら、どんな分野でも成果を出せます。私がコンサルティングを行ってきた中では、「うちはInstagramとは関係ない」と言っていた葬儀社や仏壇販売店、工務店、士業事務所などでも、明確な戦略を立てた結果、実際にお問い合わせや成約につながった事例が数多くあります。
「悲しみ」を扱う業界でも伝え方を変えればInstagramは使える
たとえば、葬儀社や仏壇店など、「悲しみ」を扱う業界では「写真を載せるのは不謹慎」と考える方が多いです。確かに、葬儀の様子を撮影して公開するのは好ましくありません。
しかし、Instagramは写真を載せるだけのツールではありません。「知識やマナーを伝える教育型メディア」としても使えるのです。私がサポートした東京都内の葬儀会社では、「葬儀の流れ」「お通夜での服装マナー」「香典の書き方」などをスライド形式で投稿しました。
すると、フォロワーが少ない段階でも安定して閲覧数が伸び、コメントで「勉強になりました」「助かりました」という声が増え、最終的には葬儀相談の問い合わせにつながりました。「悲しみ」を扱う業界でも、人の不安を安心に変える発信をすれば、Instagramは立派な集客チャネルになるのです。
Instagramが強い業界①:美容・ファッション・飲食業界
まずInstagramとの親和性が最も高いのは、美容・ファッション・飲食などビジュアルで魅力を伝えられる業界です。ネイルサロンや美容室、カフェ、レストラン、アパレルショップなどでは、写真や動画による「ビフォーアフター」や「おすすめメニュー紹介」が効果的です。
私が以前支援した埼玉県にある中華料理店では、Instagramフォロー特典として「フォローしたらアイスコーヒー1杯無料」というキャンペーンを実施しました。その結果、数週間でフォロワーが30人以上増え、その後もフォロワーの増加が継続しました。一度フォローしたユーザーには、店舗の新メニューやイベント情報がタイムラインに継続的に流れるため、リピート率を高めることが可能になります。
Instagramが強い業界②:観光・旅行・地域ビジネス
旅行代理店、ホテル、旅館、観光施設などもInstagramと非常に相性が良い業界です。美しい風景や観光スポット、食事、体験プランなどの写真・動画は、ユーザーの「旅行欲」を刺激し、予約や問い合わせにつながりやすくなります。
私のクライアントである北海道の宿泊施設では、季節ごとの景色を定期的に投稿し、フォロワーに「今年も行きたい」と思わせる演出を続けています。その結果、Instagram経由の予約が前年比で約10%増えました。
また、こうした投稿を継続することは地域ビジネス(不動産、建築、地元イベントなど)でも「地元で人気のお店」としてAIモードやGoogle検索に取り上げられやすくなりますのでこれらの業界でInstagramを運営している企業には効果が期待できます。
Instagramが強い業界③:デザイン・ハンドメイド・クリエイティブ業界
デザイナー、イラストレーター、グラフィック制作、Web制作会社などのクリエイティブ業界では、作品を「見せる」ことで仕事の依頼につながります。多くのプロデザイナーが「クライアントの許可を取らないと作品を載せられない」と悩みますが、私は常に「投稿できる条件を事前に契約に盛り込む」ことを提案しています。
また、「インスタモニター割引」という仕組みを導入し、Instagram掲載を許可してくれるクライアントには特別価格を設定する方法も有効です。投稿が増えるほど「ポートフォリオの蓄積」となり、Instagramを見た企業や個人から直接依頼が来るケースが多いです。実際、当協会の会員デザイナーの中には、Instagram経由だけで年間契約を獲得している方もいます。
意外と効果が高い業界①:BtoB企業や士業(弁護士・税理士・社労士など)
Instagramというと「消費者向けの業界が中心」という印象を持たれがちですが、実はBtoB(企業間取引)や士業分野でも高い効果を発揮します。理由は、Instagramが「信頼構築メディア」だからです。
弁護士や税理士、社労士、行政書士などの専門職は、ユーザーにとって「難しい」「堅い」印象を持たれやすい業界です。そこで、Instagramで相談事例や日常業務の裏側、スタッフ紹介などを発信することで、ユーザーが安心感を得やすくなります。
たとえば、私が支援している大阪の行政書士事務所では、投稿のテーマを「在留資格の基礎知識」「よくある申請ミス」などに絞り、1投稿につき10枚のスライド形式で分かりやすく解説しています。半年以上このようなコンテンツを投稿した結果、Instagramを見たという新規クライアントが増えるようになりました。
また、企業法務や労務コンサルティングなど、BtoBの専門サービスでも、Instagramは「認知の入り口」として有効です。企業担当者は業務の合間にInstagramを閲覧しており、難しい専門用語ではなく、ビジュアル+短文での説明が響く傾向があります。
意外と効果が高い業界②:教育業界・スクール運営・セミナー講師
教育業界もInstagramとの相性が非常に良い分野です。英会話教室、学習塾、資格スクール、ヨガ教室、ピアノ教室など、「教えるビジネス」はすべて対象になります。
Instagramでは「学びたい」「変わりたい」と考えている層が多く、短時間で理解できる教育コンテンツへの関心が高いのが特徴です。特に動画やスライドで「ミニ講義」を投稿すると、ユーザーが保存・シェアしやすく、フォロワー外への拡散効果が大きいのが教育業界の強みです。
私がサポートしている福岡の英会話スクールでは、「3分で学ぶ英語表現」シリーズを毎週投稿し続けたところ、保存率が他業界の平均の2.5倍に達しました。結果、Instagram経由の無料体験申し込みが前年比で約120%に増加しました。また、セミナー講師・研修会社でも、講演の一部や受講者の声を動画で紹介することで、「この人に学びたい」と思わせる効果を高めることができます。
SNSを使うことでAIやGoogle検索でも評価が上がる理由
InstagramなどのSNSを運営するメリットは、単にフォロワーを増やして集客することだけではありません。AI検索やGoogle検索における評価を高める効果があることが、近年の研究で明らかになっています。
AIは企業のウェブサイトだけでなく、SNSの活動内容・ユーザーの反応・投稿の更新頻度などを総合的に判断して「信頼できる情報源かどうか」を評価しています。これは、Googleの検索評価基準「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」とほぼ同じ考え方です。
つまり、SNS上で自社の知識や経験を発信することは、AIに「経験(Experience)」と「信頼(Trust)」を示す行為なのです。定期的に発信を続けることで、GoogleのAIも「この企業は活発で、実在する信頼できる事業者だ」と判断しやすくなります。私が支援している東京都内の士業グループでは、毎週Instagramに専門知識を投稿することで、Google検索の「ナレッジパネル(企業情報表示枠)」に表示されるようになりました。これは、SNS活動がE-E-A-TシグナルとしてGoogleに認識された一例です。
SNSはAI時代の「企業信頼力」を高めるツール
AI検索が主流になりつつある今、企業の評価軸は「検索順位」から「信頼性」に移りつつあります。ChatGPTやGoogle GeminiのようなAIは、SNS上の口コミや発信内容を分析し、「この企業は人々にどのように語られているか」を基準に判断しています。
つまり、SNSでポジティブな情報を積み重ねておくことが、AIに信頼される企業になる最短ルートなのです。逆に、SNSを運営していない、または放置している企業は、AIの情報データベースに「存在しない企業」として扱われるリスクがあります。AIモードの時代では、「発信していないこと」が最大のマイナス評価になります。SNS運営は単なる広告活動ではなく、AIに企業の実在と信頼を証明する証拠作りだと考えてください。
どの業界でも「見せ方」を変えればInstagramは成果を出せる
Instagramは「映える業界」だけのツールではありません。どんな業種でも、「伝え方」と「見せ方」を工夫すれば成果を上げることができます。
美容・飲食・観光などのビジュアル業界はもちろん、士業、教育、製造、住宅、不動産など、専門性の高い分野でも、知識やノウハウを発信することでフォロワーを増やし、AIやGoogleからの評価を高めることが可能です。
私が全国のクライアントと共に実感しているのは、「SNSを運営する企業」と「しない企業」では、数年後の信頼格差が決定的に広がるということです。AIモードが普及した今、Instagramでの発信は「ブランド作り」ではなく「AIとGoogleへの信号送信」です。これからの時代、どの業界でも共通して必要なのは「積極的に発信し続ける姿勢」です。
たとえフォロワーが少なくても、1投稿1投稿があなたの企業をAIに覚えてもらうための貴重なデータになります。SNSを通じて企業の想いと信頼を伝え、AIと人の両方に選ばれる存在を目指しましょう。
