2025年9月9日、Googleはついに日本国内でも「AIモード」と呼ばれる新しい検索サービスを提供開始しました。これはChatGPTのように、ユーザーの質問に対してAIが会話形式で答えを返す仕組みであり、従来のように「青いリンクをクリックして情報を探す」検索体験とはまったく異なる次元に突入したことを意味します。
たとえばユーザーが「池袋でおすすめの美容室は?」と質問すると、AIモードは数件の美容室名とその特徴を自然な文章で紹介します。この時点で、企業にとっての「上位表示」とは「検索結果に出ること」ではなく、「AIに紹介されること」に変わりました。
私はこれまで20年以上、SEO(検索エンジン最適化)を中心に全国の企業・店舗を支援してきました。その経験から断言できるのは、今後の競争は「AIにどれだけ正しく認識されるか」で決まるということです。これがいま世界中で注目されているAEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)、またはAIO(AI Optimization:AI最適化)、AEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)という考え方です。
従来のSEOが「Google検索で上位を取るための最適化」だったのに対し、AIOは「ChatGPTやGeminiのようなAIに紹介されるための最適化」です。そして、このAIO時代の中核となるのがSNS運営です。AIはウェブサイトやGoogleビジネスプロフィールだけでなく、SNS上の発信内容・口コミ・ユーザーの反応までを総合的に読み取り、企業を評価しています。今回は、AIモードの登場によって何が変わるのか、そしてなぜ今SNSを積極的に運営することがAI検索時代の生存戦略になるのかを解説します。
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GoogleのAIモードがもたらす「検索革命」
GoogleのAIモードは、検索結果にAIの要約や回答を表示する次世代型検索機能です。2025年9月の国内リリース以降、すでに多くのユーザーが「AIに聞いて情報を得る」スタイルへ移行し始めています。これまでの検索は「キーワードで探す」ものでしたが、AIモードでは「質問して答えをもらう」ものに変わります。
そのため、ユーザーの関心は「どのサイトが上か」ではなく、「AIがどの企業を推薦するか」に移りつつあります。たとえば「東京で信頼できる矯正歯科は?」と聞かれたAIが、あなたの医院名を挙げることができるかどうか。それが今後の集客力を左右します。

AIが企業を評価する4つの主要情報源
私がAI検索の構造を分析したところ、ChatGPTやGemini、Perplexityなどの生成AIが企業を評価する際に参照しているのは、大きく分けて次の4つの情報源です。
1. ウェブサイト(公式サイト):企業概要、サービス内容、FAQ、代表者情報などをAIが解析。
2. Googleビジネスプロフィール(MEO):営業時間、住所、口コミ評価、写真などの信頼データ。
3. SNS(Instagram、X、YouTubeなど):投稿頻度、反応率、ユーザーのコメントや評判。
4. ポータルサイト・口コミサイト:食べログ、価格.com、@コスメ、ホットペッパーなど、第三者評価情報。
AIはこれら4つの情報を突き合わせて、どの企業や店舗が信頼に値するかを判断します。したがって、ウェブサイトを更新しているだけでは不十分です。SNSやGoogleビジネスプロフィールを更新していない企業は、AIから見れば「活動の止まった存在」と認識されてしまいます。

SNSはAIに見られている「第三の評価軸」
AIが企業を評価する際に、特に注目しているのがSNS上での活動と評判です。AIは企業の公式アカウントだけでなく、他の一般ユーザーが投稿した口コミ、コメント、引用なども解析し、その内容を学習しています。
たとえば、あなたの店舗がInstagramやXで定期的に情報を発信し、フォロワーからポジティブなコメントを得ていれば、AIはその活動を「信頼度が高い」と判断します。一方で、SNSを更新していなかったり、ネガティブな投稿が多い企業は、AIが参照するデータ量自体が減り、結果的に推薦候補から外れてしまうのです。
これはSEOの世界でいう「被リンク」や「エンゲージメント率」に近い考え方です。SNSで多くの人と関わりを持ち、信頼や共感を得ることが、AIから見た「社会的評価」として数値化されているのです。

SNSを運営することは「AI検索対策」そのものになる
私の最近のセミナーでも、多くの経営者やマーケティング担当者が「AIに自社が紹介されない」と悩んでいます。原因を調べると、ほとんどの企業がウェブサイトしか更新しておらず、SNSをほとんど活用していません。
AIは静的な情報よりも「活動の証拠」を重視します。定期的に更新されているSNSは、AIにとって「この企業は今も動いている」という強いシグナルです。SNSを更新することで、AIはあなたのビジネスをより正確に理解し、AIモードやChatGPTの回答候補に入れやすくなるのです。
たとえば、私が支援している大阪の美容室では、Instagramでスタイル紹介やお客様の声を長年にわたり週3回発信しています。そして、ChatGPTに「大阪でおすすめの美容室は?」と尋ねた際に、この店舗名が含まれるようになっています。これは偶然ではなく、AIが「信頼できる情報源」としてSNSの活動を認識した結果である可能性があります。
AIは「自社の発信」だけでなく「他者の投稿」も見ている
多くの企業が誤解しているのは、「自社のSNSを更新していれば十分」という考え方です。実際には、AIは企業が発信する公式情報だけでなく、一般ユーザーのSNS投稿も参照しています。
たとえば、あなたの美容室や飲食店が利用客のInstagram投稿で紹介されたり、X(旧Twitter)で口コミが拡散されたりすると、AIはその投稿内容もデータとして蓄積します。ポジティブな内容が多ければ「人気があり、評判の良い店舗」と判断し、逆にネガティブな口コミが多い場合は「信頼性が低い」と判断されることもあります。
つまり、AIは「社会的証拠(ソーシャルプルーフ)」を読み取っているのです。GoogleもE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の中で「他者からの評価」を重視しており、AIモードやChatGPTもまったく同じ流れをたどっています。
SNSの「発信頻度」と「エンゲージメント」がAI評価を左右する
AIは静的な情報よりも、定期的に更新されているアカウントを高く評価します。ChatGPTやGeminiなどのAIは、情報を取り込む際に「最新性」と「反応率」を重要な判断材料にしているため、投稿頻度が低い企業よりも、週に数回の発信を継続している企業の方が取り上げられやすくなります。
また、SNS上でのエンゲージメント(いいね・コメント・シェア)もAIの評価指標の一つです。ユーザーの反応が多い投稿は「多くの人に支持されている=信頼性が高い」と判断されやすく、AIはその企業や商品を検索結果や回答候補に含めやすくなります。

私は大阪の美容クリニックを支援しているのですが、Instagramで施術動画を週3本投稿し、フォロワーからの質問コメントに毎回返信する体制を整えています。そうしたこともあり、AIモードで「大阪 美容クリニック」と検索した際に、クリニック名がAI回答内に出ています。AIに選ばれるには「定期的に更新される信頼性ある存在」であることが条件なのです。
SNSはGoogle検索に間接的に影響を与えている
SNSでの活動は、AI対策だけでなくGoogleの検索順位(SEO)にも間接的に影響を与えています。GoogleのAIは企業のウェブサイトだけでなく、その企業がどのようなSNS運営をしているかを確認しています。特に、企業アカウントの信頼性や情報の一貫性は、検索エンジンが「信頼できる発信者か」を判断する材料になっています。
また、GoogleはYouTubeを所有しているため、動画コンテンツの更新状況や再生回数、コメント、チャンネル登録者数などもすべて参照しています。つまり、YouTubeでの活動もAI検索・SEOの両面で非常に重要なのです。私のクライアントである名古屋の工務店では、Instagram・YouTube・Googleビジネスプロフィールを連動させて運営しています。週3本の投稿を半年継続したところ、「注文住宅 名古屋」での検索順位が上昇し、同時にChatGPTの回答にも社名が含まれるようになりました。ウェブ・SNS・動画を連動させることで、AIとGoogleの両方から「信頼されるブランド」として評価されたのだと考えられます。

SNSを更新しない企業がAIに取り上げられない理由
SNSを更新していない企業は、AIから見れば「活動していない存在」に見えます。AIは最新の情報を重視するため、投稿頻度が低い企業の情報は「古い」と判断され、AIモードやChatGPTの回答から外れてしまいます。
また、SNSを放置すると、他者による発信だけがAIの学習材料となり、誤った情報が拡散されるリスクもあります。自社の公式アカウントで最新情報を定期的に発信することで、AIに「正しいデータ」を提供し続けることができます。これは単なるブランディングではなく、AIにおける情報主導権を握る行為です。AI時代のSNS運営は「見せるため」ではなく、「AIに理解させるため」に行うものなのです。
AIに「見つけてもらう企業」になるために
GoogleのAIモードが登場した今、企業が取り組むべきは「AIに正しく理解される準備」です。ウェブサイトの最適化だけでは不十分で、GoogleビジネスプロフィールやSNS、口コミなど、AIが参照するあらゆる情報源を整備する必要があります。
その中でも、SNSはAIが最も注目している領域のひとつです。発信頻度、フォロワーとの交流、他者の言及などがすべてAIの評価指標になります。AIに選ばれる企業とは、単に情報を持っている企業ではなく、オンライン上で信頼と活動を積み重ねている企業です。これからの時代、「AIに見つけてもらうこと」が新しいSEOです。
SNSを積極的に運営し、AIがあなたの会社を「答えの一つ」として紹介するようになることを目指しましょう。それが、Google AIモードとChatGPT時代の最も確実な集客戦略です。
