最終更新日:2025年12月8日 執筆:SEOコンサルタント 鈴木将司

「Facebookはもう終わった」「若い人はいないから、やっても意味がない」──コンサルティングの現場で、私は今でもこうした言葉をよく耳にします。

しかし、実際にデータを見てみると、世界で最も利用されているSNSは今もFacebookですし、日本でも決して無視できない存在です。しかも、私が20年以上見てきた中で、ある特定の業種では、InstagramやXよりもFacebookの方が明らかに成果につながりやすいという傾向があります。

私はこれまで数多くのコンサルティングを行ってきました。その中には、Facebookをきっかけに顧問契約が増えた士業事務所、紹介案件が途切れなくなったスクール、問い合わせ数が2〜3倍になったクリニックなど、多くの成功事例があります。

この記事では、「どんな業種がFacebookと相性がいいのか?」を、最新データと私自身の現場経験をもとに解説します。自社でどのSNSに力を入れるべきか悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

まず押さえたい「Facebookの今の立ち位置」

まずは、感覚ではなくデータに基づいて、Facebookが今どの位置にいるのかを確認しておく必要があります。世界中のソーシャルメディア利用データをまとめた「Digital 2024」レポートによれば、主要SNSの中で「過去1ヶ月以内に利用した人の割合」が最も高かったのはFacebookでした。

さらに、米国の調査機関Pew Research Centerの最新データでも、「YouTubeとFacebookが最も利用者が多いオンラインプラットフォーム」であると報告されています。

日本国内を見ると、確かに若年層ではInstagramやTikTokが主流になりつつありますが、30代以上の層ではFacebookが安定して使われ続けています。特にビジネスパーソンや経営者の間では、今でも「仕事モードのSNS」としてFacebookを利用するケースが多いのが特徴です。

つまり「若い人が少ないから意味がない」という見方は、あまりにも一側面だけを切り取った意見であり、むしろ「お金を支払う決裁権を持った層にアプローチしたい業種」にとっては、Facebookは今でも非常に強力なプラットフォームです。

FacebookはどんなSNSなのか? 他SNSとの決定的な違い

Facebook、Instagram、X、TikTokは同じ「SNS」という枠組みに入りますが、その性質はまったく異なります。この違いを理解しないまま運用してしまうと、成果が出ないSNSに時間を費やすことになり、非常にもったいない結果になります。

Facebookは実名制が前提であるため、匿名で好き勝手な発言が飛び交うXなどと比べ、コミュニティ全体が落ち着いています。炎上や強い批判が起きにくく、建設的なコメントが集まりやすいのが大きな特徴です。私自身もXでは辛口なコメントを受けた経験がありますが、Facebookでは同じ話題を扱っても、応援や共感のコメントが寄せられることが多く、その空気感の違いを身をもって感じています。

またInstagramやTikTokは、ビジュアルや動画といった「コンテンツの強さ」が支配する世界ですが、Facebookは「つながりの深さ」が中心にあるSNSです。「誰の投稿なのか」「どれくらい関係が深いのか」が投稿の表示順位に強く影響します。

たとえば、過去にDMでやり取りした相手、コメントを交わした相手、頻繁に投稿を見ている相手は、アルゴリズムによって「関係性が深い」と判断され、ホーム画面で優先的に表示されます。この仕組みこそ、後ほど解説する「どの業種がFacebookと相性がいいのか?」を考えるうえで非常に重要なポイントになります。

Facebook向きの業種①:B2B・士業・コンサルなど「信頼」が成果を決める業界

真っ先にFacebookと相性が良いと感じているのは、B2B(法人向けビジネス)や士業、専門コンサルといった「専門性と信頼」が重視される業界です。

たとえば、IT・SaaS、経営コンサル、人事コンサル、税理士、社労士、弁護士、行政書士、研修会社などがそれに当てはまります。これらの業種では、担当者や決裁者が慎重に情報を集め、「信頼できる相手かどうか」をじっくり確かめる傾向があります。

Facebookは実名・顔写真・経歴が見えるため、専門家としての姿勢や価値観が伝わりやすく、「信頼の土台」が圧倒的に築きやすいのです。海外のB2Bマーケティングでも、Facebookは「ブランド認知と見込み客との関係構築に有効」と評価されています。

実際に私のクライアントでも、地方の税理士法人がFacebookにコツコツと専門情報や理念を発信した結果、顧問契約の相談が自然と増えた例があります。日々の投稿が小さな信頼を積み重ね、その積み重ねが最終的に契約につながる──Facebookはまさにこうした流れを生みやすいSNSなのです。

Facebook向きの業種②:高価格帯・説明が多い商材(教育・不動産・保険・車・ウェディングなど)

Facebookと非常に相性の良いもう一つの領域が、「高価格帯」かつ「じっくり検討される」商材を扱う業界です。学習塾、不動産、住宅、生命保険、投資信託、自動車販売、ブライダルなどが代表例です。

これらの商材は、ユーザーが慎重に情報を集め、担当者の人柄や企業の姿勢を見て購入を判断します。Facebookはコメントのやり取りが「公開された口コミ」のように残るため、企業への信頼が蓄積され、購入の背中を押す効果があります。

例えば住宅会社では、完成見学会の様子、スタッフ紹介、お客様との会話、家づくりの裏側を投稿することで、「この会社に任せてみたい」と感じる見込み客が増えていきます。Instagramでは「オシャレな家」で反応を取れても、Facebookほど「信頼が積み上がる場」にはなりにくいのが実感です。

Facebook向きの業種③:地域密着ビジネス(クリニック・整体・サロン・飲食店など)

三つ目が、地域密着型のビジネスです。クリニック、整体院、鍼灸院、エステサロン、美容室、カフェ、地域イベントの主催団体などが当てはまります。こうした業種では、「どこに行くか」よりも「誰に診てもらうか」「どんな人がやっているのか」が重要視されます。Facebookは人柄が伝わる投稿との相性が非常に良く、院長やスタッフの日常、現場の雰囲気、患者さんとのやり取りなど、安心感につながる要素が自然に伝わります。

私が支援しているメンタルカウンセリング事務所では、Facebookを通じて濃いファンが増え、AIアバターを使った「明るい雰囲気の解説動画」が相談への心理的障壁を下げる効果を生みました。地域ビジネスにとって、安心感は最強の武器です。Facebookはその安心感をもっとも伝えやすいSNSのひとつです。

業種別「何を投稿すれば成果につながるのか?」具体イメージ

ここまで「どんな業種がFacebookと相性がいいか」をお話ししてきました。では、実際にどんな投稿をすれば成果につながるのでしょうか。ここからは、私がコンサルティングの現場で実際に効果を確認してきた「業種別の投稿イメージ」をお伝えします。

1. B2B・士業・コンサルの場合

B2Bや士業・コンサルの世界では、売上を決めるのは華やかな演出ではなく「専門性」と「信頼感」の組み合わせです。Facebookの実名制は、この二つを伝えるうえで非常に強い味方になります。

たとえば、社長向けのミニコラムとして、助成金や補助金の最新情報、労務管理や税務の注意点を、専門家の視点でわかりやすく解説する投稿は反応が高くなりやすいテーマです。そこに、相談事例を守秘義務に配慮しながらストーリーとして交えたり、日々の勉強会やセミナーの様子をレポートとして発信したりすると、「この人に相談してみたい」という感情が少しずつ積み上がっていきます。

また、代表者自身の価値観や理念、仕事への思いを言葉にする投稿も効果的です。専門知識と人柄の両方が伝わったとき、Facebook上の友達やフォロワーは「単なる情報の発信者」ではなく「頼れる専門家」としてあなたを見るようになります。その状態になると、気がついたときにはコメント欄が小さな経営者コミュニティになり、そこから顧問契約の相談が自然に生まれる、という流れができてきます。

2. 教育・不動産・保険など高価格帯商材の場合

高価格帯商材では、ユーザーが購入を決めるまでに時間がかかる一方、その過程で「安心材料」が増えれば増えるほど成約率は上がります。Facebookはこの「安心材料」を増やすのにぴったりの場です。

学習塾やスクールであれば、授業の様子やイベントのレポート、先生と生徒のやり取り、保護者の声などを写真や文章で丁寧に伝えていく投稿が有効です。不動産会社であれば、完成見学会の様子、実際に住み始めたご家族との写真、現場監督や営業担当の紹介など、リアルな現場の空気が伝わる投稿が安心感につながります。

保険や金融商品の場合は、難しい専門用語をかみ砕き、「こういう人にはこの保険が向いている」「こういう勘違いが多い」といった「誤解を解く解説」が支持されやすくなります。ここでも、単に商品を宣伝するのではなく、「お客様の人生にどう役立つか」を語る姿勢が信頼を生みます。

3. クリニック・サロン・整体など地域密着ビジネスの場合

地域ビジネスで最も重要なのは、「この人なら安心して任せられそうだ」と感じてもらえるかどうかです。Facebookでは、院長やスタッフのプロフィール、日常のエピソード、院内の雰囲気、来院者の声などを組み合わせることで、その安心感を自然に伝えることができます。

たとえば、スタッフ紹介では、単に経歴だけではなく「なぜこの仕事を選んだのか」「患者さんにどんな気持ちで向き合っているのか」といったストーリーを添えると、読んでいる人の心に残りやすくなります。地域イベントへの参加報告や、商店街とのコラボ企画なども、地域とのつながりを感じてもらえる重要な要素です。

メンタルカウンセリングのように重いテーマを扱う場合でも、あえて明るいトーンのAIアバター動画を使って、気軽に相談してもらえる空気を作るなどの工夫が効果を上げています。シリアスなテーマほど、「安心して扉を叩ける雰囲気づくり」が成果に直結します。

Facebookアルゴリズムを理解すると成果が一気に安定する

Facebookで長期的に成果を出すためには、アルゴリズムの考え方をざっくりとでも理解しておくことが大切です。Metaが公開している情報によれば、タイムラインにどの投稿を表示するかを決める際に、Facebookは関係性、投稿の種類、新しさ、予測される反応、投稿に対してどれだけ時間が費やされているか、といった要素を組み合わせて判断しています。

なかでも特に重要なのが「関係性」です。過去にDMで会話したことがある、コメントをやり取りしたことがある、投稿をよく見ている──こうした行動が積み重なっている相手は、「関係性が深い」と判定され、ホーム画面に優先的に表示されるようになります。

言い換えれば、Facebookは「コミュニティ型表示のSNS」です。InstagramやXのように「コンテンツ単位で一気に拡散させる」というよりも、「いつもつながっている人との関係の中で表示が決まる」仕組みになっています。そのため、どれだけ立派な投稿を作っても、コメントを返さない、DMを無視する、いいねもほとんどしない、という運用をしていると、徐々に表示されにくくなってしまいます。

逆に言えば、コメントやメッセージに丁寧に返信し、既存のつながりを大切にする運用を始めた瞬間から、表示回数が目に見えて増えていくケースが多くあります。私のクライアントの中には、「投稿内容はほとんど変えていないのに、コミュニケーションだけ強化したらリーチが2倍、3倍に増えた」という企業も少なくありません。Facebookでは、投稿そのもののクオリティだけでなく、「普段の関わり方そのもの」がマーケティングの成果に直結するのです。

「Facebookページ」と「個人アカウント」は目的に応じた使い分けが必須

多くの企業が見落としがちなポイントが、「Facebookページ」と「個人アカウント」の使い分けです。ここを誤解したままスタートすると、後で修正が大変になることもあります。

個人アカウントは、名前や顔写真、経歴、友人関係など個人情報と結びついており、本来は友人同士のコミュニケーションが主な用途です。Metaは個人アカウントの商用利用を公式に非推奨としており、度を越してビジネス利用をするとアカウント停止のリスクもゼロではありません。

一方、Facebookページは企業や店舗、団体が公式に情報発信するための場所です。ロゴや屋号で運用でき、広告配信やキャンペーンも行えますし、担当者の個人情報を表に出す必要もありません。言い換えれば、「会社として集客したい」「店舗としてファンを増やしたい」という目的であれば、Facebookページを中心に設計することが正解です。個人アカウントはあくまで「人柄を伝えるサブの窓口」として活用する、というイメージがちょうどよいバランスだと感じています。

Facebook「だけ」に頼るべきではない業種もある

ここまでFacebookの強みをお伝えしてきましたが、すべての業種にとって万能なSNSというわけではありません。中には、FacebookよりもInstagramやTikTok、Xを中心に据えた方が成果が出やすい業種も存在します。

たとえば、10代〜20代の女性をメインターゲットにしたファッションECや、流行を追う低価格のコスメ、Z世代向けのトレンド商品などは、InstagramやTikTokの方が反応を取りやすい傾向があります。また、視覚的インパクトが勝負の業界では、リールやショート動画広告を軸に戦略を立てた方が効率的な場合も多いと感じています。

重要なのは、「どのSNSが好きか」ではなく、「自社のターゲットはどこにいるのか」「どのSNSならその人たちの日常に自然に入り込めるのか」という視点です。Facebookは、決裁権を持つ層、信頼を重視する層、地域とのつながりを大事にする層にアプローチしたい業種にとって非常に強力な武器になりますが、若年層中心のトレンド商品にとっては主戦場ではないかもしれません。

まとめ

Facebookは世界で最も利用されているSNSであり、日本でもビジネスパーソンや経営者層を中心に根強く使われ続けています。実名制という特徴から、信頼が重視されるB2B、士業、コンサル、高価格帯商材、地域密着ビジネスとの相性が非常に良く、正しく活用すれば顧問契約や高単価の成約につながるケースが少なくありません。

一方で、若年層向けのトレンド商材や、ビジュアル重視のファッションECなどは、InstagramやTikTokをメインに据えた方が効率的な場合もあります。だからこそ、「うちのターゲットは誰なのか」「その人たちが日常的に使っているSNSはどこか」を見極めたうえで、Facebookを「戦略的に選ぶ」ことが大切です。

私が普段現場で感じているのは、Facebookほど「業種によって結果が変わるSNS」は他にない、ということです。裏を返せば、自社と相性が良い業種であれば、Facebookは今でも、そしてこれからも「最強の武器」になり得ます。

もしあなたのビジネスがこの記事で紹介したタイプに近いのであれば、今日から本気でFacebookに取り組んでみてください。きっと、これまで見えていなかった層との出会いや、新しい顧客コミュニティ、そして安定した売上という形で、結果が返ってくるはずです。

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