SNSが一般ユーザーの情報収集の中心になった現在、企業にとって「検索される場所」はGoogleやYahoo!だけではありません。特にFacebookは、膨大なユーザー同士の関係性データを持ち、検索バーから特定の業種や地域の事業者を探す利用者が確実に増えています。
Facebook内SEOは、GoogleともX(旧Twitter)とも全く違うロジックで動いています。しかし、正しく理解し、必要な設定とコンテンツ作りを行えば、小さな会社でも確実に検索上位に表示される可能性があります。本記事では、私がコンサルティング現場や協会会員とのやり取りの中で蓄積してきた知見をもとに、Facebookで検索に強いページを作るための実践的なステップをわかりやすく解説します。
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Facebook内SEOとは何か?Googleとの決定的な違い
多くの経営者やWeb担当者は、SEOと聞くとGoogleで上位表示することを思い浮かべます。しかし、私が過去にコンサルティングした企業の中では、「Facebookのから月間数十件の問い合わせが来ている」という例も珍しくありません。
Facebook検索は、以下の3つの要素を複合的に判断しています。
・ページ名(アカウント名)に含まれるキーワード
・基本データ(ビジネス情報)に含まれる業種・地域名
・投稿内容・レビュー・ユーザーの反応
そしてFacebookの特長は、ユーザー同士の関係性データが豊富にあることです。たとえば、過去にDMを送った相手、コメントをやり取りした相手、あるいは頻繁に投稿を見ているアカウントなどは「関係性が深い」とみなされ、ホーム画面やリールで優先的に出てくるようになります。

この仕組みがそのままFacebook内SEOにも影響していると考えられます。Googleが「情報の質」を重視するのに対し、Facebookは「関係性の深さ」と「アカウントの信頼性」を強く評価します。
ページ名に業種名・地域名を含めることが効果的な理由
私はコンサル現場で、Facebookのページ名にキーワードを入れていなかっただけで「検索からの露出がゼロだった」企業をいくつも見てきました。
たとえば、ある社会保険労務士法人のクライアントでは、ページ名に正式名称しか書いていなかったため「社会保険労務士」と検索しても全く出てこなかったのです。そこで私は、ページ名を「社会保険労務士法人〇〇」に変更し、さらに「地域名」を自然に加えるようアドバイスしました。すると数週間後には、同一地域の関連ワードで安定して検索上位に表示されるようになりました。
Facebookは、ページ名(アカウント名)は事業者が最も正確に記載する欄であり、虚偽の記載が少ないと判断しています。だからこそ、ここに含まれるキーワードは検索順位に最も強い影響を与えるのです。

さらに、外国語の店名の場合は、検索される可能性がある日本語表記を追加することも効果的です。たとえば、フランス語の店名に「池袋美容室」と自然に補足している例では、実際に「池袋美容室」で検索して上位に表示されていました。
「実態のある表記」であればSEO効果が極めて高い
これがFacebook内SEOの大きな特徴です。
基本データ(基本情報)には「狙うキーワード」を自然に入れる
Facebookページには「基本データ(基本情報)」という欄があり、事業内容・紹介文・所在地などを記入できます。私はコンサルする企業に対して、この部分を「Webサイトのmeta descriptionのように扱う」ことを推奨しています。
例えば、大阪の歯科クリニックを支援した際、基本情報に次のような自然な文章を入れました。
・大阪市難波で歯列矯正・セラミック治療を行う歯科医院です
・歯医者 歯科医院 難波駅近く
・大阪エリアで輪郭矯正や審美治療を希望される方向けの専門クリニック
こうした文章を入れることで、「大阪 歯医者」「難波 歯科医院」など複数の検索ワードに対して表示されるようになりました。
しかし、ここで重要なのは過度なキーワード詰め込みをしないことです。「歯医者 歯医者 歯医者」「難波 難波 難波」などの不自然な記述は逆に評価を落とします。Googleと同様、自然言語で書かれたテキストが最も高い評価を得ます。私の経験上、「ユーザーにとって読みやすい文章になっているか」を常に基準にすることがFacebook内SEOでは正攻法として機能します。
カテゴリー設定はFacebookに「自分の正体を伝える唯一の手段」
Facebookは多種多様なカテゴリーを用意しており、これを正しく設定することは非常に重要です。私は会員企業のアカウントをチェックする際、まずこのカテゴリーが間違っていないかを確認します。
例えば、
・歯科医院は「歯医者 & 歯科医院」
・飲食店は「レストラン」
・コンサルタントは「コンサルティングサービス」
というように、Facebook側は業種を分類するアルゴリズムを持っています。正確なカテゴリーを設定することで、Facebookはそのページを「本物の歯医者」「実在の美容室」などと認識し、検索にも優先的に表示しやすくなります。
逆に、誤ったカテゴリー設定は信頼性を損ない、検索順位が下がる原因になります。これはGoogleのE-E-A-Tと同じで、「実在の専門業種であるか」が評価の中心にあるという点が非常に興味深いポイントです。

投稿本文にキーワードを自然に含める:検索と読者満足の両立が鍵
投稿本文に狙いたいキーワード(地域名・業種名・サービス名など)を自然に含めることで、Facebook検索に出やすくなります。
しかし、ここで大事なのは「SEO目的が前面に出てしまう書き方」を避けることです。私はこれまで多くのクライアント企業を支援してきましたが、投稿本文の中でキーワードを乱用しすぎて逆効果になっているケースを頻繁に見てきました。
たとえば、歯科クリニックであれば「大阪駅 歯医者」「大阪 セラミック治療」「大阪 歯列矯正」など複数のキーワードを入れたい気持ちはわかります。しかし、本文がキーワードだらけになると、ユーザーは「宣伝臭さ」を感じて投稿から離れてしまいます。
特にFacebookのユーザーは、
「人とつながるSNS」
「温かさ・共感を求めるSNS」
として利用しているため、Google検索向けの文章とはまったく違うアプローチが求められます。
投稿本文にキーワードを入れる場合の最適な書き方は、以下のように 「自然な文脈の中で1回〜2回入れる」 ことです。
例:「大阪駅近くでセラミック治療を行う当院では、初めての方も安心して相談いただけるようカウンセリングに力を入れています。」
このように、読者にとって読みやすく、かつ情報として自然な文章であればFacebookのアルゴリズムにも評価されやすくなります。

Facebookは「関係性データ」を最も重視している:検索順位にも影響する理由
Facebookは、他のSNSより圧倒的に精度の高い「関係性アルゴリズム」を持っています。これは、ユーザーが以下のような行動を通して「誰と近い関係にあるか」を把握し、それを元に投稿やページを表示させる仕組みです。
・DMのやり取り
・コメントの履歴
・いいねの頻度
・リアクションしたジャンル
・投稿をどれだけ長く閲覧したか
たとえば、過去にDMを送った相手、コメントをやり取りした相手、あるいは頻繁に投稿を見ているアカウントなどは、Facebookから「関係性が深い」とみなされ、ホーム画面やリールで優先的に出てくるようになります。

この仕組みは、検索結果にも強く影響します。つまりFacebookは、「そのページはユーザーにとって価値があるか?」を「関係性の深さ」によって判断しているのです。
私のクライアントで、地域密着型の美容室があります。定期的にお客様との会話を投稿し、コメントへの返信を丁寧に続けたところ、Facebook内検索で「地域名+美容室」で上位に表示されるようになりました。
これにより検索経由の来店者が増えたことがあります。SEO施策だけをしていた時期より、SNSでの「関係性づくり」を重視した時期のほうが検索結果が良くなるという現象は、Facebookで特に顕著です。
レビュー(評価)の数と質は検索上位の強力なシグナルになる
Facebookには、Googleマップと同じようにページに対するレビュー機能があります。私は長年SEOを研究し、多くのSNSを比較してきましたが、Facebookレビューの影響力は予想以上に大きいと感じています。
理由は3つあります。
1. Facebookは信頼性の高いデータを評価する
レビューはユーザーが「自発的に書くデータ」であり、Facebookはこれを信頼性の高い指標として扱います。
2. レビューの★評価が高いページは「おすすめ」に出やすい
実際、レビュー評価が高く、かつレビュー数の多いページは「おすすめページ」として表示されやすい傾向があります。
3. 検索結果でもレビューは目立つ
Facebook検索結果にはレビュー評価が表示されるため、上位表示された際のクリック率(CTR)が大きく上がります。
私はクライアント企業に対し、
「Googleレビューだけでなく、Facebookレビューも依頼してください」
と強く伝えています。
実際、レビューが1件→10件に増えただけで検索順位が大きく改善した事例もありました。Facebook内SEOにおけるレビュー対策は、今後ますます重要になるでしょう。

Facebook運用は企業の「本質的なサービス品質」を高める
Facebookの内SEOの話はここまででも十分複雑ですが、私が企業支援で感じている一番大きなメリットは、Facebookを運用することで企業が「お客様を深く理解できるようになる」という点です。
SNS、とくにFacebookでは、ユーザーの気持ちや温度感を想像しながら投稿する必要があります。
「この投稿を見た人はどんな気持ちになるのか?」
「元気づくのか?安心するのか?不安になるのか?」
——この視点でコンテンツを作る習慣は、企業の接客・サービス全体を底上げします。
実際、私が関わったある歯科医院のスタッフは、Facebook投稿を続けるうちに次のような変化がありました。
・患者さんが不安に思うタイミングを投稿から逆算して考えるようになった
・院内の案内や説明が丁寧になり、クレームが大幅に減った
・患者さんとのコミュニケーションが自然に増えた
Facebookは単なる集客ツールではなく、「企業文化を変える装置」にもなり得るのです。

【まとめ】Facebook内SEOはGoogle SEOと「全く違う軸」で戦うべき
Facebookは、
「情報検索」+「人間関係」
という独自の構造を持っています。
だからこそ、GoogleのSEOだけを意識した会社は、Facebook検索で思うように成果を出せません。
本記事で紹介した通り、Facebook内SEOでは以下の要素が強く評価されます。
・ページ名に業種名・地域名を自然に含める
・基本データにキーワードを自然な文章で記載する
・正しいカテゴリーを選択する
・投稿本文に自然な流れでキーワードを含める
・ユーザーとの関係性を深める投稿をする
・レビューを増やし、評価を高める
・お客様目線の投稿を継続する
特にFacebookは、「関係性データを持つ唯一のSNS」と言っても過言ではありません。
だからこそ、企業がFacebookに取り組むと、集客だけでなく、接客品質、チームの文化、顧客理解まで自然とレベルアップしていきます。
「Facebookを制する者は、地域ビジネスの集客を制する」
この考えは今後さらに明確になっていくと確信しています。
