「Facebookはもう終わった」「おじさんおばさんしか見ていないから、集客には向かない」──最近こうした言葉を耳にします。ところが世界の利用データを見ると、現在も「世界で最も利用者が多いSNS」はFacebookです。日本でも、30代以上のビジネスパーソンや経営者層を中心に、仕事モードのコミュニケーション手段として根強く使われています。
そして、ビジネスでFacebookを本気で活用するなら、絶対に避けて通れないのが「おすすめ」に表示される仕組みです。スマホアプリを開いた最初の画面に出てくる「おすすめの投稿」に載れるかどうかで、同じ投稿でもリーチが何倍も変わってしまうからです。
私はSEOコンサルティングのクライアントや協会会員のFacebook運用をサポートする中で、「おすすめ」に載る投稿と、まったく伸びない投稿の違いはかなりはっきりと見えてきています。この記事ではFacebookのおすすめ表示の仕組み(アルゴリズムの基本)、具体的な事例、今日からできる「おすすめ対策」と「Facebook内SEO」を解説します。
Contents
なぜ今「Facebookのおすすめ対策」が重要なのか?
まず前提として、Facebookが「まだまだ無視できないSNS」であることを、感覚ではなくデータで確認しておきましょう。
世界全体のSNS利用状況をまとめた DataReportal の「Digital 2024」では、主要SNSの中でFacebookは依然として月間アクティブユーザー数・利用率ともにトップクラスであると報告されています。
また米国の Pew Research Center でも、YouTube と並んで Facebook が「最も利用者が多いプラットフォーム」として挙げられており、10〜20代のヘビーユーザーはInstagramやTikTokに流れている一方で、30代以降のビジネス層が今なおFacebookを使い続けていることが分かります。
私自身、SEO協会の売上が落ち込んだ時期に、ほぼ毎日Facebookで情報発信を続けたことで、セミナー参加者・教材購入者・新規会員が増え、売上をV字回復させた経験があります。クライアントのクリニックや士業事務所からも、「Facebook経由の問い合わせは成約率が高い」という声を何度も聞いてきました。
こうした実感とデータを合わせて見ると、「若者向け商品はInstagram・TikTok」「意思決定層を狙うビジネスはFacebook」という役割分担がはっきり見えてきます。だからこそ、Facebookを使うのであれば、ただ投稿するだけでなく、「おすすめに載って見込み客のフィードに入る」ことを意識した運用が欠かせないのです。
Facebookの「おすすめ」はどう決まるのか?アルゴリズムの基本イメージ
では、Facebookはどのような仕組みで「おすすめ」を決めているのでしょうか。Facebookを運営する Meta は、「フィードのランキングの考え方」を公式に公開しています。そこでは、ユーザー一人ひとりに対して機械学習を使い、膨大な候補投稿の中から「その人にとって関連性が高く、意味のあるコンテンツ」を優先的に表示していると説明しています。
さらに Facebook Business の公式ヘルプでは、
1. まず候補となる投稿を集める
2. それぞれの投稿について「誰が投稿したか」「どんな内容か」「どれくらい反応があるか」などのシグナルを計算する
3. そのユーザーにとってどれくらい重要かを予測し、スコアを付ける
4. スコアの高い順に並べてフィードに表示する
という流れがあると解説しています。
海外のソーシャルメディア専門メディアやツールベンダーの解説を総合すると、Facebookのおすすめ(フィード)で特に重視されているのは、関係性の強さ(Relationship)、投稿の新しさ(Recency)、投稿のタイプ(画像・動画・リンク・テキストなど)、エンゲージメント(コメント・リアクション・シェア・滞在時間)といった要素です。
たとえば WordStream や Hootsuite の2025年版Facebookアルゴリズム解説でも、「関係性」「コンテンツの種類」「エンゲージメント」「新しさ」が主要シグナルとして繰り返し説明されています。
私が実際のスマホ画面を見ながら「おすすめ」に並んでいる投稿を解説すると、まさにこれらのルール通りに表示されていることがよく分かります。何年も付き合いのあるクライアントの投稿、私がよく見ている、あるいはコメントしている方の投稿、Instagramでよく視聴している人の動画がFacebook側のおすすめに出てくるケースなど、どれも「関係性が深い」「よく反応している」「似たコンテンツをよく見ている」というパターンに当てはまります。

つまりFacebookのおすすめは、「いまこの人が見て、時間をかけてくれそうな投稿」を、過去の行動や関係性からAIが選び出している、とイメージすると分かりやすいでしょう。
Google検索とFacebookのおすすめは「兄弟のような関係」
私はSEOコンサルタントとして長年Google検索アルゴリズムを研究してきましたが、FacebookのフィードアルゴリズムとGoogleのランキングシステムは、根本の考え方がとてもよく似ています。
Googleは公式ドキュメントで、検索結果の自動生成とランキングについて、数百億のページやコンテンツから候補を集め、検索クエリとの関連性やコンテンツの品質、ユーザーの利便性など多数のシグナルを総合してスコアリングし、ユーザーにとって最も役立つと判断したページを上位に表示していると説明しています。
さらにGoogleは、「人々にとって役立つコンテンツを優先する」ために、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の考え方を重視していると明言しています。
Facebookのフィードは検索エンジンではありませんが、候補コンテンツを集め、ユーザーとの関係性や反応からスコアを付け、スコアの高いものを上位に表示するという意味では、Googleと非常によく似た「ランキングエンジン」と言えます。
そのため、Facebookのおすすめ対策でも、Googleと同様に「一次情報としての経験」「専門家としての視点」「実績や事例にもとづく権威性」「誠実なコミュニケーション」といったE-E-A-T的な要素が、結果的に強く働きます。

実際、私のクライアントの中でも、現場の写真やお客様とのやり取り、失敗談を含めたリアルなストーリーを投稿しているページほど、エンゲージメントが高く、おすすめにも載りやすくなっていると感じます。まさに「経験」と「信頼」が可視化された投稿が評価されていると言えるでしょう。
クライアント事例
私がよく自分のセミナーでご紹介するクリニックは、2017年頃からSEOコンサルティングを担当しているクライアントで、もう8年以上のお付き合いになります。私は日常的にこのクリニックのサイトをチェックし、打ち合わせを行い、SEOの改善提案をしています。同時に、Facebookページの投稿もよく閲覧し、ときどきコメントや「いいね!」もしています。
その結果、私のFacebookホーム画面(おすすめタブ)を開くと、そのクリニックの投稿がかなり高い頻度で表示されます。これは、長期間にわたるアクセスや滞在、繰り返しの閲覧、何度かのリアクションやクリックといった行動が蓄積し、「この人(鈴木)はこのページとの関係性が深い」とAIに判断されているからです。
私はクライアントや受講者の方に、「お客様が、あなたのページを何度も見て、クリックして、コメントしてくれるような関係を作れば、Facebookのおすすめにも自然と載りやすくなります」とお伝えすると、「アルゴリズムの裏技を期待していたのですが、結局は人間関係なんですね」という意味のことをおっしゃる方が複数います。
しかし、これが現実です。アルゴリズムは機械ですが、見ようとしているのは「人と人との関係の深さ」です。だからこそ、定期的に近況を発信し、コメントに丁寧に返信し、オフラインのリアルな関係性をオンラインにも反映させる──こうした地道な取り組みが、最終的には「おすすめ表示」という形で報われていくのです。
おすすめに表示される投稿の3つの条件
では、具体的にどんな投稿がおすすめに載りやすいのでしょうか。動画の内容や海外記事、私自身のコンサル経験を総合すると、概念レベルでは次の3つが重要です。
1.「つながり」を深める投稿であること
たとえば、過去にDMを送った相手、コメントをやり取りした相手、頻繁に投稿を見ているアカウントなどは、「関係性が深い」とみなされ、ホーム画面で優先的に出てくるようになります。そのため、最初から売り込み一辺倒の投稿ばかりでは、なかなか関係性が深まりません。
読者に問いかける、共感を呼ぶストーリーを書く、コメントしたくなるテーマを選ぶといった、「会話のきっかけになる投稿」を意識することが、長期的にはおすすめ表示につながります。
2. コメント・会話が発生しやすいこと
Facebookは、コメントや会話が多く発生している投稿を好んでおすすめに載せようとします。コメントや会話が多い投稿ほどユーザーをアプリ内に長く引き止めるため、アルゴリズムから見ても価値が高いと判断されるからです。
コメント数やコメントの長さ、投稿主とコメントした人の関係性、返信の有無などが、「この投稿は人々にとって価値があるかどうか」を判断する強いシグナルになります。「どう思いますか?」「あなたはどちら派ですか?」といった質問形式や、「あるあるネタ」は、コメントを呼び込みやすい典型的なパターンです。
3. 「役立つ」か「共感される」かがはっきりしていること
おすすめに載る投稿の多くは、お役立ち情報(ノウハウ・ハウツー・チェックリスト等)か、感情に訴える共感ストーリー(失敗談・気づき・体験)のどちらかに明確に振り切れています。
海外のFacebookアルゴリズム解説記事でも、「ユーザーにとって時間を使う価値があるとAIが判断した投稿が、フィードの上位に来る」と繰り返し述べられています。
なんとなく書いた近況よりも、「時間をかけて読んでもらう意味がある」と感じてもらえる投稿にすることが、Facebook時代の情報発信の大前提だと言えるでしょう。
おすすめに載る投稿の「具体的な作り方」
ここからは、実際にどのような投稿をすれば「おすすめ」に載りやすくなるのか、私がクライアント指導で使っている具体的なポイントを紹介します。
1. 「売り込み」ではなく「会話のきっかけ」をつくる
前半でも触れた通り、Facebookのアルゴリズムは「関係性の深さ」と「エンゲージメント(コメント・リアクション・シェア)」を非常に重視します。Meta公式も、フィードAIシステムが「その人にとって最も価値がありそうな投稿」を機械学習で予測して並べていると説明しています。
つまり、一方的に「セミナーやります」「新商品が出ました」と宣伝するだけではなく、読んだ人が思わず何か反応したくなる「会話の入口」を作ることが重要です。
たとえば、
「○○社の社長から「人が採れない」という相談を受けました。皆さんの会社では採用でどんな悩みがありますか?」
「今日の外来で印象に残ったケースがありました(個人情報は伏せてあります)。同じような経験をされた方はいませんか?」
「新しい講座のカリキュラム案を作りました。どのテーマが一番気になりますか?」
といった書き方は、自然にコメントやリアクションを呼び込みます。
先ほども触れたように、過去にDMを送った相手やコメントをやり取りした相手、頻繁に投稿を見ているアカウントは「関係性が深い」と判定され、ホーム画面で優先的に表示されます。日頃からコミュニケーションを前提にした投稿設計をしておくことが、アルゴリズム対策としても非常に重要です。
2. コメント・会話を増やす「ひと言」を必ず入れる
同じ内容の投稿でも、最後にひと言添えるだけで反応率が変わります。
「あなたはどちら派ですか?」
「似た経験をしたことがある方は、よければコメントで教えてください」
「現場で同じ悩みを感じている方は、いいねで教えてもらえると嬉しいです」
「経営者の方は、この点をどう感じますか?」
といった一文は、コメントやリアクションを自然に促してくれる「トリガー」になります。
3. 「お役立ち+共感」のハイブリッド投稿が強い
最近特に強いと感じているのが、「お役立ち」と「共感」を両立させた投稿です。構成としては、読者の悩みや状況の描写(共感)から始まり、自分やクライアントの具体的な体験(経験)、そこから得られた学び・ポイント(専門家としての視点)、最後に問いかけや応援メッセージ、という流れです。
これはGoogleが推奨する「人々にとって役立つ、信頼できる、people-firstなコンテンツ」の考え方とも非常に近く、Google Search Central の Helpful Content ガイドでも、「検索エンジンのためではなく人のためにコンテンツを作ること」が強く推奨されています。
Facebookのおすすめにおいても、一方的な宣伝より「人間味のある一次体験+学び」の方が明らかに長く読まれ、反応されやすいと実感しています。

4. 画像・動画は「読ませるためのアイキャッチ」として使う
テキストだけの投稿より、画像や動画付きの投稿の方がユーザーの目に留まりやすく、フィード上での滞在時間も伸びやすくなります。Hootsuite の Facebook マーケティングガイドでも、画像・動画・リールなど視覚的なコンテンツを組み合わせた投稿は、総じてエンゲージメントが高い傾向にあるとまとめられています。
ポイントは、ただきれいな写真を貼るのではなく、「本文を読ませる入口」として機能させることです。リフォーム会社であればビフォーアフターの写真、クリニックなら院内の雰囲気やスタッフの笑顔、士業ならセミナーや相談会の様子など、「この投稿の中身は何だろう?」と興味を持たせるビジュアルが理想的です。
一方で、まったく関係ない画像に釣りタイトルをつけたり、不自然に長い投稿と大量ハッシュタグでアルゴリズムを「だます」ような手法は、Metaがリーチ制限やペナルティの対象としていると報じられています。短期的なバズを狙うのではなく、「画像・動画はあくまで内容を引き立てるもの」と考えた方が、長期的なおすすめ表示とブランド価値の両方にとってプラスになります。

Facebookの「検索」にも強くなるための基本(Facebook内SEO)
動画の後半では、「おすすめ」だけでなく、Facebook内検索で見つけてもらうこと、いわば「FacebookのSEO」の重要性にも触れました。ここでは、初心者の方でもすぐに取り組める基本ポイントを整理します。
1. ページ名とユーザーネームに「業種+地域」を入れる
まず最も重要なのが、Facebookページの名前と @ユーザーネームです。ここに「業種」「サービス名」「地域名」のいずれか、できれば複数を含めておくと、Facebook内の検索窓で探されたときに見つかりやすくなります。
例としては、「横浜市の心療内科 ハートケアクリニック」「△△駅前の整体・骨盤矯正 ○○整骨院」などがイメージしやすいでしょう。Google検索のSEOと同様、「ユーザーがどう検索しそうか」をイメージしながら名前をつけることがポイントです。

2. ページの基本情報をしっかり埋める
Facebookページには、業種カテゴリ、住所、電話番号、営業時間、WebサイトURL、紹介文など、多くの入力欄があります。これらはユーザーの安心材料になるだけでなく、Facebook側が「このページはどんなビジネスなのか?」を理解するためのシグナルにもなります。

3. 投稿テキストにも「検索されそうな言葉」を自然に入れる
ユーザーがFacebookの検索窓に入力するのは、「○○市 歯医者」「在宅ワーク セミナー」「夫婦関係 カウンセリング」のように、ごくシンプルなキーワードであることが多いものです。
こうした言葉を無理のない範囲で投稿テキストの中に書いておくと、Facebook内検索からの流入がじわじわと増えていきます。ただし、Googleが「キーワードの詰め込み」を明確に否定しているように、不自然に同じ単語を繰り返すのは避けましょう。読み手にとって自然で分かりやすい文章を書くことが、結果的にアルゴリズムにも評価されます。

Google検索とFacebookおすすめを「掛け算」する発想
ここまで読んでいただくと、「結局、FacebookとGoogle、両方大事なのですね」と感じられた方も多いと思います。その通りで、私はクライアントにいつも「SEOとSNSは別々の施策ではなく、掛け算で考えてください」とお伝えしています。
1. Facebookは「Googleに評価されるコンテンツへの導線」
Googleは、直接Facebookの「いいね」数やコメント数をランキング要因として使っているわけではありません。ただ、Facebookでの発信をきっかけに、ブログ記事やセミナーLPへの安定した流入が生まれ、その結果として滞在時間やページビューが向上し、サイト名や会社名での指名検索(ブランド検索)が増える、といった間接的な効果は十分に期待できます。
2. AI時代の「人間らしい発信」としてのFacebook
さらに、AIが生成するコンテンツが増えれば増えるほど、「人間の顔が見える発信」の価値は相対的に高まっていきます。実際の失敗談、現場の写真や動画、お客様とのやり取り、長年の付き合いの中で感じたこと──こうした「人間らしさ」は、現時点ではAIが完全に再現しづらい部分です。
GoogleのE-E-A-TもFacebookのおすすめアルゴリズムも、最終的には「人間の行動」を見ています。だからこそ、AI時代になればなるほど、Facebookで自分や自社の「生の声」を発信し続けることは、SEOとSNSの両方において重要な戦略になっていくと私は考えています。

まとめ
最後に、この記事全体を振り返りながら、今日からできるアクションを簡潔に整理しておきます。
まず、あなたのビジネスのターゲットがFacebookにいるかどうかを、データと感覚の両方から確認しましょう。B2B、士業、クリニック、サロン、地域ビジネスなどであれば、Facebookとの相性は非常に高いはずです。「Facebookはオワコン」というイメージだけで判断してしまうのは、あまりにももったいないと言えます。
次に、アルゴリズムの基本を理解します。Facebookのおすすめは、関係性・エンゲージメント・新しさ・コンテンツの種類といった要素で決まり、Google検索と同じように「人にとって役立つコンテンツ」が長期的に評価される、という大きな流れを押さえておきましょう。
投稿を作るときは、売り込みだけでなく「会話のきっかけ」を必ず入れ、コメントやリアクションを自然に促す一文を添えてください。お役立ち情報と共感ストーリーを組み合わせ、画像や動画は本文を読ませるためのアイキャッチとして活用します。
Facebook内SEOとしては、ページ名やユーザーネームに業種+地域を含め、基本情報をしっかり埋め、投稿本文にユーザーが検索しそうな言葉を自然な形で盛り込むことがポイントです。そして、Facebookの投稿からは必ず、自社サイトの「役立つ記事」や「LP」へ導線を張り、SEOとの掛け算を意識しましょう。
Facebookのおすすめ表示は、裏技だけで劇的に変えられるものではありません。しかし、アルゴリズムの考え方を理解し、読者との関係づくりを意識した投稿を地道に続けていけば、少しずつ「届く人」が増えていきます。
SEOとSNSの両方を長年見てきた立場からお伝えしたいのは、「完璧を目指す前に、まずは今日1本、「会話を生む投稿」を書いてみてください」ということです。その一歩が、FacebookのおすすめとGoogle検索の両方で選ばれる発信への、確かな第一歩になるはずです。
