最終更新日:2025年12月8日 執筆:SEOコンサルタント 鈴木将司

「Facebookはもう使われていない」「中高年しかいないSNSだからビジネスには向かない」――こうした声を耳にするたびに、私は強く違和感を覚えます。なぜなら、私自身が2015年にSEO協会の売上が大きく落ち込んだ時期、Facebookの運用だけで売上を復活させた経験があるからです。

さらに世界のSNS利用データを見ても、Facebookは依然として世界1位のユーザー数を持つSNSです。日本でもInstagramより利用されている調査は複数存在します。
この記事では、Facebookの真の価値と具体的な活用ポイントを解説します。

Facebookは「終わったSNS」ではなく、むしろ世界で最も使われているSNSである

まず最初に知っておいていただきたいのは、「Facebookはもう誰も使っていない」というのは事実ではなく、世界全体で見れば依然として最も利用されているSNSだという点です。Meta(旧Facebook)が公開している月間アクティブユーザー数のデータを見ても、長年トップの座を明け渡していません。

さらにHootsuiteとWe Are Socialの最新レポートでも、2024年時点でFacebookの利用率は世界1位と明示されています。日本国内でも総務省の通信利用動向調査が示すように、利用率は依然として高い水準で維持されており、実はInstagramより多く利用されているという調査結果もあります。

それでも企業がFacebookを軽視してしまうのは、「若者がいないSNSは意味がない」「勢いがあるのはInstagramやXだ」という誤解が広がっているからです。しかし実際には、企業が最も成果を出しやすいのは「流行しているSNS」ではなく、「意思決定者が多いSNS」です。そしてその役割を果たしているのがFacebookなのです。

Facebookは実名制だからこそ、ビジネスとの相性が圧倒的に良い

Facebookの最大の特徴である実名制は、企業にとって非常に大きな強みになります。実名で活動するということは、行動や発言に責任が伴うということでもあります。そのため、匿名SNSでありがちな攻撃的な書き込みや誹謗中傷が起こりにくいだけでなく、ユーザー同士のコミュニケーションが丁寧で穏やかな傾向があります。

私は多くの企業のSNS運用を見てきましたが、Facebookには「見込み客の質が高い」「ビジネスの話題が自然に溶け込みやすい」という特徴があり、どの業界でも安定して成果につながりやすい印象があります。私自身もX(旧Twitter)で批判を受けた経験があり、匿名性のリスクを身をもって感じたことがあります。その点、Facebookは安心してビジネス情報を発信できる環境が整っています。

私自身、Facebookだけで売上をV字回復させた経験がある

ここで私自身の経験も共有させてください。2015年頃、SEO協会の売上が一時的に大きく落ち込み、「このままでは本当に危ない」という状況に直面したことがあります。当時の私は何とか突破口を見つけるため、ほぼ毎日のようにFacebookに投稿し、自分の考えや学び、価値観、現場で得た知見をコミュニティの皆さんに共有し続けました。

すると、数ヶ月も経たないうちに売上は元の水準へと戻り、むしろその後は安定性まで増しました。この経験から、Facebookは単に集客の場というだけでなく、「つながりを深める力が圧倒的に強いSNS」であると確信しました。実名だからこそ信頼が生まれ、企業の発信も誠実に受け取られやすいのです。

《2015年当時の私が管理していたSEO対策セミナーのサイトの訪問者データ》

Facebookページと個人アカウントの役割はまったく異なる

企業のSNS担当者からは、「Facebookは個人情報が心配なので使いたくない」「個人アカウントで運用するのは怖い」という相談をよくいただきます。しかし、Facebookには企業のために作られた「Facebookページ」という仕組みがあり、企業ロゴやサービス情報を軸に発信できる公式のビジネスアカウントが存在します。

個人アカウントは顔写真や友人リストなど個人の情報が紐づきますが、Facebookページではそうした不安は一切ありません。担当者の素性が露出することもなく、業務として安心して運用できます。企業活動はすべてFacebookページ内に閉じることができ、Metaもビジネス運用の際には「個人アカウントを使わないこと」を明確に推奨しています。

Facebookのアルゴリズムは、何よりも「関係性」を重視している

Facebookの強さは実名性だけではなく、アルゴリズムの仕組みにもあります。Metaによれば、Facebookは投稿表示の優先順位を決める際に、「関係性」「投稿の種類」「新しさ」「予測される反応」「閲覧時間」などを考慮するとされています。

特に大きなウェイトを占めているのが「Relationship:投稿者との関係性の深さ」です。ユーザーが過去に何度もやり取りした相手、DMを交わした相手、頻繁に投稿を読んでいるアカウントは、アルゴリズム上で「関係性が深い」とみなされ、優先的に表示されるようになります。

たとえば、過去に少しでもDMを交わしたり、投稿にコメントしたりした相手は、ホームフィードの上位に出やすくなります。これはInstagramやXよりも「人と人のつながり」を強く重視するFacebook独自の特徴であり、企業がFacebookで成果を出しやすい最大の理由にもなっています。単に広告を出すだけではなく、顧客との関係を丁寧につくればつくるほど、自然と投稿が届きやすくなるのです。

InstagramやXにはない、Facebookだけが持つ「3つの強み」

私が企業のコンサルティングでFacebookを推奨するのは、他のSNSにはない性質を持っているからです。Instagramは視覚的でトレンド寄り、Xは拡散力がある一方で炎上リスクも高いという特徴があります。その中でFacebookは、実名制・落ち着いた年齢層・丁寧なコミュニケーションが基本となっており、全体の文化が非常に穏やかです。批判や攻撃的なコメントが起こりにくいため、企業アカウントにとっては「安心して活動できる居場所」が保たれています。

さらに、意思決定者や購買力のある層が多いのもFacebookの大きな魅力です。実際、SEO協会の会員企業からは「Facebook経由でお問い合わせいただく方は質が高く、成約率も高い」という声をよく耳にします。これは、ビジネスパーソンが多く、企業の経営層やマネージャーといった層が比較的多いことに起因します。

そして何より特筆すべきなのが、「リンク投稿の強さ」です。XやInstagramでは外部リンクを貼るとリーチが落ちる傾向がありますが、Facebookはその逆で、外部サイトへの誘導にもっとも相性の良いSNSです。

私自身、セミナーLPやブログ記事、採用ページやオンライン講座の集客をFacebookで行い、大きな成果を得てきました。企業にとって「ユーザーを自社の資産であるWebサイトに誘導できる」というのは、他のSNSにない極めて大きなメリットです。

企業が今日から実践できるFacebook運用の「5つのステップ」

ここからは、私がコンサルティングで実際に企業へ指導している内容の中から、今日からすぐに取り組めるものを紹介します。

まず重要なのは、Facebookページを必ず作成し、個人アカウントで運用しないことです。個人アカウントには個人情報が紐づいてしまううえ、Metaもビジネス利用を非推奨としており、アカウント停止リスクを避けるためにも、企業はFacebookページを公式の「拠点」として運用する必要があります。

次に、週に2〜3回を目安に、理念やストーリー、人柄が伝わる投稿を続けていくことです。Facebookは「人間味」がもっとも伝わりやすいSNSであり、企業としての価値観、現場での気づき、スタッフの想いなどが非常に好意的に受け取られます。とくに理念系の投稿はFacebookでよく伸びる傾向があり、ユーザーの心に残りやすいテーマのひとつです。

また、コミュニケーションを積極的に行うことも欠かせません。コメントに返信したり、DMで丁寧に対応したり、過去にやり取りしたユーザーの投稿へ反応したりと、関係性を積み重ねる行動そのものがアルゴリズム上で「深い関係」と評価され、投稿の表示率を上げる大きな要因になります。

さらに、ホームページやLPへの誘導を積極的に行うこともポイントです。Facebookは数少ない「外部リンクを嫌わないSNS」であり、自社サイトへ誘導しても自然にリーチが伸びます。ブログ記事、セミナー案内、採用情報、商品ページなどを堂々と投稿できるのはFacebookの強みです。

そして、可能であれば広告の併用も検討してみてください。Facebook広告はターゲット精度が非常に高く、予算が少なくても成果が出やすい仕組みが整っています。実際、SEO協会のセミナー参加者のなかにも「Facebook広告経由の申込がもっとも質が高い」と話す企業が多数あります。

2025年以降、Facebookは再び「企業が成果を出せるSNS」として評価される

ここ数年、日本国内における注目はInstagram、TikTok、Xに集まっていました。しかし、世界全体で見るとFacebookは依然として巨大なユーザー基盤を維持し、ビジネスパーソンの活動の中心として使われ続けています。

さらにAI時代に突入したいま、企業がSNSに求められる要素は大きく変わりつつあります。これからは「誠実さ」「一貫性」「人柄」「社会的信用」「コミュニティ形成」といった「人間的価値」がより重要になります。そして、それらすべてを満たすプラットフォームこそが、Facebookなのです。

実名制による信頼性の高さ、丁寧なコミュニケーションが生まれる環境、意思決定者との距離の近さ──これらはAI時代においてむしろ価値が上がり、企業が長期的な成果を得るための基盤になります。

Facebookは「終わったSNS」ではなく、むしろ企業の成果に最も直結するSNSである

最後に、この記事で伝えてきたポイントをあらためて整理すると、Facebookは世界で最も使われているSNSであり、日本でもInstagramより利用率が高い調査が複数存在します。実名制だからこそ誹謗中傷が少なく、企業活動に最適な環境が整っています。私自身もFacebookだけで売上をV字回復させた経験があり、企業にとっての価値を誰よりも実感してきました。

また、Facebookページを使うことで個人情報の心配はなく、アルゴリズムは「関係性」を重視しているため、顧客とのやり取りがそのまま表示順位という成果につながります。リンク投稿が強く、外部誘導にも向いており、意思決定層が多いという点も他のSNSにはない大きな魅力です。広告も効果的で、少ない予算でも十分な成果を期待できます。

AI時代に入り、信頼性とコミュニティの価値はますます高まっています。Facebookは、その両方を兼ね備えた稀有なSNSです。もし今まで軽視していたとしたら、それは企業にとって大きな機会損失だったかもしれません。ぜひ今日からFacebookを本格的に活用し、長期的なファンと強いコミュニティを育てて下さい。

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